. ページ29
･
･
「何を、隠してるの？」
「俺が今から言うこと信じてもらえないかもしれない。
…でも、もう…俺は耐えられないよ」
あの日の記憶が蘇る。
「本当は…ついこの前まで、Aはロンジュナ達と一緒に活動してたんだよ」
目の前の彼が言っていることを理解した瞬間のことをよく覚えている。頭を殴られたような衝撃って、こういうことを言うんだって思った。誰かに胸を強く押されているかのように息がしにくくなって、瞬きをすることすら忘れた。
「…なに、それ。どういうこと？」
俺がそう言うと、ジェミンは凄く辛そうな顔をした。その時、きっとドリームのメンバーの中でこの話を聞くのは自分が初めてなんだと理解したんだ。
「俺が、体調を崩して活動に参加できない時、いつもAが活動に参加してたんだ。
…俺の、代わりに」
最後の言葉が、か細く震えていた。代わり。無意識にその言葉を呟く。ジェミンは、それはマチョの時期から始まっていたと付け加えた。
それって、俺らは5年近くもAだと気がつかずに、一緒にいたってこと？
じゃあ、あの朝の機嫌が悪かったジェミンは？練習室でよく笑っていたジェミンは？ラップが上手くできないと泣いていたジェミンは？お酒を飲んでふわふわしてたジェミンは？
どれが本当のジェミンで、どれが本当のAだったの？
頭が混乱して、足がふらつく。床に座り込んだ俺を心配そうに見つめた彼と目が合う。その黒い瞳には微かに水が張っていた。
…なんで俺は気がつかなかったんだろう。
一回立ち止まってよく考えてみれば、色々おかしかったじゃないか。ジェミンだから、で終わらせられない違和感だって今までにあったじゃないか。
こんなに仲間が苦しんでいるのを、思い詰めているのを。こんなにそばに居て、色んな時間を共にしてきて、どうして察することすらできなかったんだろう。
「…ごめん」
「なんでロンジュナが謝るの？」
「…ごめん、ね」
申し訳なさ、不甲斐なさ、悔しさ。色んな感情が一気に押し寄せて瞳から涙となって零れていく。床に落ちる水滴を見ながら、幼い子供のように肩を震わせた。
そのまま病院に向かうジェミナを玄関で送ったあと、誰もいないリビングでしばらくボーッとして、おもむろにスマホを取り出した。カトクを開いて、別の宿舎にいる人間の名前をタップして、電話のマークを押す。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 329人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NCT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジュン(プロフ) - えみさん» 3月から4月への変わり目は特に忙しいですよねTT お気になさらないで下さい！お疲れ様です😊 了解しました！では私の方からえみさんの方にメッセージを送らせて頂きますね！ (2022年4月4日 23時) (
レス) id: 2f0aad5d81 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - ジュンさん» 月末月初で忙しくしてました😭返信遅くなりごめんなさい。。色々と調べていただきありがとうございます！ご提案いただいた方法で大丈夫です。ありがとうございます！ (2022年4月3日 17時) (レス) id: 9192d71aff (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - えみさん» えみさんと私の間でしか見れない内容で会話をすることができるようです。ですので、その方法でも宜しいでしょうか？気になることや不安なことがありましたら気軽に言ってくださいね！💚 (2022年3月31日 4時) (レス) id: 2f0aad5d81 (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - えみさん» いえいえ！お気になさらないで下さい！お声をかけてくださった事をとても嬉しく感じていますから😊調べてみたところ、プロフを作っていれば使えるこみゅ(COMMU)のメッセージ機能を使うと、 (2022年3月31日 4時) (レス) id: 2f0aad5d81 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - ジュンさん» こちらこそご迷惑をおかけして申し訳ございません。素敵な作品をありがとうございます🥺 (2022年3月30日 19時) (レス) @page8 id: 9192d71aff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ジュン
| 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/baekotowhani/
作成日時：2022年3月27日 23時
