Myosotis scorpioides【A3!】 (ページ35)

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さんじゅうさん㌻ページ35

「夏合宿？」

「そう！」

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私の言葉に目の前のいづみさんが輝いた目で相槌を打つ。

...聞いた話によると夏組の演じる劇が決まったらしい。『千夜一夜物語』という話らしいのだが私は見たことが無く、興味が湧いていた。

それと、もう一つはバラバラな夏組をまとめるために夏合宿をするのだという。

__それにはいづみさんと支配人も行くようで...

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「だから、夏合宿の間Aちゃんにこの家の事任せてもいいかな？」

「任せてください、頑張ってきてくださいね」

笑顔で了承すると、パッと目を細めて笑って「ありがとう」と言ういづみさん。

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やっぱり、本当にお姉ちゃんみたい。

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懐かしい姉の面影にいづみさんを重ね、クスリと口元を緩める。するといづみさんはこてんと首を傾げた。

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「どうしたの？」

「いや...あの、いづみさんが本当に姉にそっくりで...何だか懐かしくなりました」

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そう言って笑う私に、いづみさんも嬉しそうにそうかな？なんて頬を緩めたけれどその笑顔に少し違和感を覚えた。

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...今の私には、それを気にも留めていなかったけれど。

＊＊＊

▼合宿当日▼

「俺も一緒に行く」

「夏組合宿だから、行けません」

出発当日、駄々をこねるいづみさんラブの碓氷さんを尻目に夏組のみんなを見送る。

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みんなを見回していると、何だか緊張している椋くんを見つけたので声をかける。

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「合宿、頑張ってね」

「あ、っ...Aさん、ありがとうございます」

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あれから椋くんとは何かと意気投合したので、すっかり名前を呼び合えるほど親しくなった。

声をかけても未だ緊張しているみたいだけど、まぁ大丈夫か。

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「あーあ、お前の顔を見なくて済むと思うとせいせいするな」

「......」

後ろから嫌味ったらしい声が聞こえて思わず振り向き、その声の主を睨みつける。

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「それは良かったですね、もう帰ってこなくていいですよ。あと、ちゃんと周りのことも考えて行動してくださいね」

「...ホントに可愛くねーやつ」

にこり、と笑って言葉を返すと皇天馬はまたいつものように眉をひそめた。

「これは捕まえておくから、監督いってらっしゃ～い！」

「ありがとう、綴くん！みんな、留守番よろしくね！」

いつの間にか碓氷さんは皆木さんに捕まえられて、いづみさんと夏組は半ば強引に寮を出ていった。