FILE.119 あの日 ページ19
「駅のホームで自害しようとしていた彼女を俺が引き止めて、そこで知り合ったんだ。
初対面のはずの彼女は、なぜか沖矢昴のことを知っているような素振りを見せた。
そこで、彼女に自害の理由を尋ねたりして少しでも彼女から情報を引き出そうとしたんだが、俺はふとゼーレの隠し子の話を思い出した。
その隠し子がこの世界のどこかでまだ生きているとしたら、今頃ちょうど彼女と同じくらいの年齢になっているはずだということもな。
もしそれが目の前の彼女だとしたら、両親を組織に惨殺された過去が大きなトラウマを生み、自害まで追い込まれた理由も頷ける。
その少しの可能性に賭け、彼女の家にあがって酒を入れようとしたが、たとえ酒が入ったとしても彼女にそれを話す気はないということがわかって、ゼーレの隠し子や彼女自体について独自に調べることにしたんだ。
それとは別に、沖矢昴の存在を知っていたことや、俺が差し出したバーボンのラベルに微かに反応したことを踏まえて、バーボンと密接に関わりがあり、俺の正体を知らされている組織の手下である可能性も浮上した。
バーボンが組織の誰にも俺の正体をバラしていないという確固たる証拠はないからな。
そこで一応ボウヤにも彼女の存在を知らせて、見かけたら警戒するようにと伝えた。
そして調査の結果、ゼーレの坂凪夫妻の隠し子という説がビンゴだったというわけさ。
おそらく彼女は、その立場上、隠れて生活することを余儀なくされていて、頻繁に引っ越しをしているんだろう。
彼女の家に上がったとき、生活感がまるでなかったのは、引っ越しの際の手間を省くためにミニマリズムを徹底していたからだろうな。
それと、彼女のスマホにGPSを取り付ける際に中身を覗いてみたんだが、交友関係やプライベートが一切と言っていいほど見受けられなかった。
自らの立場を考えて知り合いを作ることを拒絶していたんだろう。
スマホにパスワードを設定していなかったことからも、彼女にとってはスマホは情報を手に入れるためだけのもので、それ以外は飾り程度という認識だということがわかる。
偽名も所によって変えているだろうな。飯田橋遥が何個目の偽名かはわからないが____彼女は今飯田橋遥を演じているだけであって、本当の彼女の性格がどんなものかはわからない。
もしかしたら、彼女は彼女自身を上書きしているのかもしれないな。その場その場で新しい人間を繕って....」
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凛音 - 面白かったです！でもこれで終わりなのが寂しいです。 (10月8日 20時) (
レス) @page23 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！大変だとは思いますが、更新楽しみに待っています！！ (5月11日 18時) (レス) @page23 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
アリアス - 凄く面白いです。Twitterフォローさせて頂きました。固ツイの部屋の情報とてもありがたいです。更新無理なさらず……楽しみにしています (2022年7月4日 19時) (レス) @page37 id: 14e0364a88 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - すごく面白いです！！ 第1話から ぶっ通しで読んで 気づけば朝になってましたw 更新停止なのが勿体ない！続きが書かれる事を願ってます (2022年4月28日 7時) (レス) @page37 id: 41374f889f (このIDを非表示/違反報告)
こぎつね(プロフ) - すごく面白いです！1章から一気に読んでしまいましたw更新楽しみにしてます！ (2022年3月15日 10時) (レス) @page37 id: b879b0bfc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：+G | 作成日時：2021年8月16日 11時
