FILE.26 疑惑の呼名(2) ページ26
「...なるほど」
安室さんは少し考えて、再び口を開いた。
「でも、教えていなくても周囲と対象との会話で自然と顔と名前を認知していることもあるんじゃないのか。」
『うん。現に僕は、安室さんや蘭姉ちゃん達から遥さんに聞こえるところで何度も名前を呼ばれてる。だから考えてみればそこまでおかしい話じゃないと思ってた。』
「ならどうして?」
『そう考えていた矢先に、遥さんはまるで何も知らないかのように僕に名前を尋ねてきたんだよ。それで不思議に思いながら名乗ったら、例の如く初めて知ったような反応をしたんだ。御丁寧に僕の名前を復唱してね。』
「"コナン"という名前で呼ばれたのはその一度きりか?」
『そうだよ。...僕の名前を知っていたのに、あたかも知らなかったかのように振舞ってた....それって、僕の名前を知った手段が正当なものじゃないからじゃないかな。』
「決めつけるのは早いと思うけどな。苗字の方を知りたいだけだった可能性だってある。」
『いや、それは考えにくいと思うよ。』
「...考えを聞こうか」
『...名前を聞いたあとに遥さんが復唱したって言ったでしょ。僕、名前を聞かれた時フルネームで"江戸川コナン"って言ったんだ。だけど遥さんが復唱したのは"コナン"の部分だけ。苗字が知りたくて聞いたなら、江戸川の部分 もしくはフルネームで復唱するのが普通だよね。』
「へぇ.......そこまで覚えているなんて、本当に君は疑り深いね。」
『えへへ。』
「材料はそれだけか?」
『いいや、まだあるよ。』
俺がそう言うと、安室さんは鼻で笑って肩を持ち上げ、体勢を整えた。
「長くなりそうだな」
前方で蘭達が話に夢中になっているのが目に入る。
『...降ろしていいよ、疲れてないから』
「逐一目線を下げる方が面倒だ。このまま話してくれ。」
『ねえ、僕らって他の人たちにどう見えてるのかな?』
「さあ。」
『親子でも違和感ないね』
「...それで?」
『ああ.....ねえ、安室さんはエスカレーターが破損してたって話聞こえた?』
「それが何か関係あるのか?」
『正確には1階から18階にかけてのエスカレーターの手すりの部分なんだけど...』
「....それを彼女がやったと?」
『意図的ではないけどね。僕達が男と対峙したのは19階で...遥さんが僕を庇った時に反動で吹き抜けに落ちちゃったんだ。』
「...それで?」
『まあ...多分今安室さんが想像したそのまんまのことだよ。』
「....君はいつから僕の思考を読み取れるようになったんだ。」
『なんの事だか。』
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Ohata(プロフ) - いや 私には700ヤード先の直径1cmの的にピンポイントで弾を食らわせる超人スナイパーに見えます。 現場からは以上です。 ←まじ笑いましたwww (10月9日 10時) (レス) @page6 id: 6c4593a5ce (このIDを非表示/違反報告)
+G(プロフ) - 舞さん» コメントありがとうございます。頑張ります! (2021年4月4日 11時) (レス) id: 2be049e179 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください^o^ (2021年3月28日 23時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
+G(プロフ) - 星来さん» コメントありがとうございます。通知付けして頂き、とても嬉しく思います!頑張ります。 (2021年3月15日 23時) (レス) id: 2be049e179 (このIDを非表示/違反報告)
星来(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。私は何とも幸運なことに昨日こちらの作品を見つけまして、更新の望みをかけて通知付けさせて頂いたところで、再開のお知らせを新参ながらとても喜ばしく思います。コナンの沼におかえりなさい!!!楽しみにお待ちしてます! (2021年3月15日 16時) (レス) id: 4e1206599e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+G | 作成日時:2019年4月27日 22時