FILE.45 本の匂い ページ45
とりあえずここがどこなのか把握しないと。
ふかふかのベッドで上半身だけ起き上がらせると、
心地よい空間にベッドの軋む音が響いて、
今にもグリーグの朝の気分が流れてきそうな雰囲気である。
それもそのはず、
私が寝ていたこの部屋のインテリアは全て年季が入っているようで、かつ丁寧に手入れされているのが素人目にもわかるほど、重厚感で包まれていた。
ランプも、これ、高そうだなあ.....
と部屋を見回しているうちに、ある期待が膨らんだ。
なんだか見覚えのあるドアノブを回して部屋の外に出てみると、より見覚えのある廊下に、見覚えのある外の景色が広がる。
やっぱり!
ここは工藤邸だ!
とすると......
私は頭に工藤邸の間取りを思い浮かべながらある部屋に向かう。
それにしても、家中が本の匂いに包まれてるというか、さすが推理小説家の邸宅って感じ...。
_____コンコンコン
ノックしてみると、中で誰かが返事をした。
防音性が高いからか、こちら側からはモゴモゴとしか聞こえない。
でも返事をしたのはきっとあの人だ。
『失礼します。』
そう言って重ための扉を開けると、予想していた通り、数え切れない程の本が壁一面に広がっていた。
もはや上の方の本とかどうやってとるんだろう...って感じの大きな吹き抜けの部屋。
その奥の方にポツンと設置されたデスクと、座り心地の良さそうな椅子。
その椅子に座っていたのは、コーヒーを飲みながら分厚い本を読んでいる沖矢さんだった。
「貴方でしたか。おはようございます。」
そう言って中指で眼鏡の位置を直し、読んでいた本を閉じてこちらに向かってくる。
なんかこの人凄い馴染んでんな....
『お、おはようございます』
「服や持ち物は全てリビングに置いてありますので案内しますよ。」
『ありがとうございます。』
何より先に聞きたいことがある。
けどとても聞きにくい.......!!!
「しかし、よくこの部屋に私がいるとわかりましたね。それとも偶然ですか?」
『たまたま....ですかね』
「そうですか。リビングは階段を降りたすぐそばの扉なので、ここへ来るまでに通っているかと思いますが....わざわざこちらに?」
『吸い込まれるように足がこの部屋に向かっていってしまったもので....』
嘘はついてない。うん。
「はは、それはそれは。不思議な力が働いたのでしょうね。本に招かれた姫とでも言いましょうか。」
『そうですね...』
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Ohata(プロフ) - いや 私には700ヤード先の直径1cmの的にピンポイントで弾を食らわせる超人スナイパーに見えます。 現場からは以上です。 ←まじ笑いましたwww (10月9日 10時) (レス) @page6 id: 6c4593a5ce (このIDを非表示/違反報告)
+G(プロフ) - 舞さん» コメントありがとうございます。頑張ります! (2021年4月4日 11時) (レス) id: 2be049e179 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください^o^ (2021年3月28日 23時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
+G(プロフ) - 星来さん» コメントありがとうございます。通知付けして頂き、とても嬉しく思います!頑張ります。 (2021年3月15日 23時) (レス) id: 2be049e179 (このIDを非表示/違反報告)
星来(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。私は何とも幸運なことに昨日こちらの作品を見つけまして、更新の望みをかけて通知付けさせて頂いたところで、再開のお知らせを新参ながらとても喜ばしく思います。コナンの沼におかえりなさい!!!楽しみにお待ちしてます! (2021年3月15日 16時) (レス) id: 4e1206599e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+G | 作成日時:2019年4月27日 22時