ロゼッタ２ (ページ9)

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イルミネーションを見て、家に帰って「今日はみんなでピザパーティー！」と張り切るジェシーくんの声で始まったホームパーティ。…みたいなもの、と言っていたきょもさん。だけど、慎太郎くんがノリで買ったと持ってきた三角のパーティグッズの帽子をしっかりと被って、お皿の上に二種類のピザを乗せて、いつもよりずっと柔らかい表情でオレンジジュースを飲んでいる様子を見ると、実はこの中で一番楽しんでいるのはきょもさんなんじゃないかなと思う。
今だってほら、サークルで余ったからって慎太郎くんが部屋から持ってきたクラッカーを手当たり次第手に取って、優吾に向けて鳴らしてる。

「人に向けて鳴らすんじゃねーよ！」
「どうなるのかなと思って」
「だったら尚のこと人に向けんな」
「髙地は丈夫だから大丈夫だろ」
「その基準なに？あとで掃除しろよマジで」
「覚えてたら」
「おい」

二人のやり取りを見ている慎太郎くんも笑ってて、「何やってんの」ってさっき仕事から帰ってきた松村さんが嫌そうな顔をしてリビングを見ている。
「北斗も来なよ」と慎太郎くんに言われて立ち止まった松村さんは、少し考えたような素振りをして二階へと上がってしまう。
賑やかなのは得意じゃないのかな。と思っていたら、しっかり部屋着に着替えてキッチンで手を洗ったきた松村さんが戻ってきて、「シーフードじゃん」と嬉しそうにシーフードピザを食べている。

そういえばジェシーくんは？
賑やかだけど物足りなさを感じた時、そこにさっきまでいたはずのジェシーくんの姿が見えないことに気づく。

「どうかした？」
「あ…ジェシーくんが見えないなって」
「ああ、中庭じゃない？」
「中庭？」
「よく見なかったけど、家に入る前に人影が見えたから」
「…ちょっと行ってきますね」
「いってらっしゃい」

椅子の背もたれに掛けていたカーディガンを羽織って、そっとリビングを出る。
玄関に向かって靴を履いて中庭へ回ると、柵に手を乗せてぼんやりと空に浮かぶ半分に欠けた三日月を見上げていたジェシーくんがいた。
私の足音に気づいたみたいで、私を見るといつもみたいにニコッと笑うジェシーくん。