ロゼッタ２ (ページ6)

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「クリスマスねぇ」

音楽番組から流れる曲を聴きながらため息をついたのはきょもさんで。

「卒論でクリスマスどころじゃない」

冬でもお構いなしでアイスを食べる慎太郎くんが項垂れる。
確かに私も人混みは苦手だし、今年のクリスマスは昨日で堪能したし、今日はこのまま家にいたいかも。なんだかんだでみんなクリスマスメニューは気に入ってくれていたし、あのケーキも全部なくなって松村さんも驚いてたしなあ。

「えー、俺イルミネーション見に行きたい！」

ぼんやり考えていたら、突然明るい声がリビングに響いてみんなで一斉に振り返る。
そこには昨日から出掛けていたジェシーくんがいて、いわゆる朝帰りのジェシーくんを見た京本さんは目を細めながら口を開く。

「昨日見てきただろ」
「ううん、見てない」
「でも昨日デートじゃなかった？」
「うん。でもフラれちゃった」
「え？」

それには流石の私もびっくりして、思わず椅子から立ち上がる。目が合ったジェシーくんは、ふっと優しく笑って。でも、逸されてしまう。

「だから見に行こうよ、イルミネーション」
「俺はいいけど、きょもは？」
「…まあ、いいよ」
「やったー！もちろんAちゃんも一緒ね」
「え？あ…うん、分かった」

「じゃあ俺シャワー浴びて着替えてくんね」ってジェシーくん。あっという間にシャワールームへと行ってしまって、リビングには私ときょもさん、そして慎太郎くんが顔を見合わせる。

「ジェシー別れたって言ってたね」
「俺は最初から反対してたし、むしろそれが正しいって思うけど」
「確かにきょもは頑なに反対してたからなぁ。まあそれは北斗もだけどさ」
「相手は既婚者なんだから当たり前だろ。だいたい将来を誓い合ったパートナーがいるのに、理解しろって方がどうかしてる」
「好きとかよく分かんないけど、多分理解とかじゃないんじゃないかな。恋愛って」
「…慎太郎、お前恋愛語れるほど経験ないじゃん」
「おい！Aちゃんの前でそういうこと言うのやめてよ！」

「だいたいきょもだって俺と似たようなもんだろ！」、そう慎太郎くんが返すと、「そういうの怠いからしないだけ」ってきょもさん。
いつの間にかああでもないこうでもないというやりとりに苦笑いをしてキッチンに向かう。
するとちょうどタイミングよく優吾もやって来て、ココアでも作ろうとしていた私に優吾が話しかけてきた。

「あいつら朝から元気だな」
「ね。きょもさんが朝から起きてるの、珍しくない？」