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松村さんが家に帰ってこない日が三日目になろうとしていた夜のこと。
お店が休みの樹くんは、リビングのソファーにうつ伏せになりながらいつものゲームをしている。その向かい側にはジェシーくんがいて、その隣には慎太郎くん。二人は樹くんのゲームをちょこちょこ覗きながら楽しそうに話していて、その三人を見ながら私は洗濯物を畳んでいた。
「またガチャ被りかよ…」
「樹さあ、もう単発やめて10連回しちゃえば?」
「こういうのは単発で当たった方がカッコいいだろ」
「ゲームの実況者じゃないんだから、そんなんカッコつけてどうすんの」
「うるせえな」
けらけら笑いながらやり取りをする三人に私も口角が上がる。みんな今日も仲がいいなあ。
相変わらず松村さんからの連絡は、ない。
「北斗なら大丈夫」って樹くんにもこの前言われてしまって、みんなそう言うんだから大丈夫なんだろう。と思うようにしてる。
何か話せない事情があるのかもしれないし、そうだとしたらそこに触れられるのを松村さんは嫌うタイプだとも思ってたからだ。
「ねー樹、俺一回だけガチャしたい」
「いいけどマジで被りだけはやめてね」
「それフラグじゃん?」
「大丈夫大丈夫。えいっ!」
何故か気合の腕まくりをしたジェシーくんが樹くんの携帯の画面にタッチする。
「あー…、あ?」
声を上げた樹くんは驚いているみたいで、思わず私も洗濯物を畳んでいた手を止めて樹くんを見る。すると、「ジェシーお前!」って携帯を持ちながら樹くんはジェシーくんに肩組みをした。
「コレめっちゃ欲しかったやつなの!マジありがとう!」
「へ?あ、うん。どういたしまして?」
「樹テンション高すぎ」
興奮している樹くんに、よく分かっていないけれどうなづいているジェシーくんと、樹くんを見ながら笑っている慎太郎くんに私もつられて笑ってしまう。
「ねえAちゃん、ゲームに夢中になる男子ってどう?」
「え、私?」
「男子って高校生かよ。別にゲームに夢中な成人男性がいてもいいだろ」
「んーまあそうだね。好きなことに夢中になることはいいことなんじゃないかな」
「なるほどね、そういうもんなんだ」
妙に納得しきったみたいな慎太郎くんが私を見る。その視線がなんだか妙に優しくて、思わず視線を逸らしてしまう。
そんな時だった。
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作者名:りく | 作成日時:2021年12月23日 21時