ロゼッタ２ (ページ26)

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「…なーんて言ってみたけど、あくまで俺から見たAちゃんの話ね」

言葉に困っていた私に気付いた慎太郎くんは、すっと立ち上がる。
あ、と呼び止めようとしたけれど、タイミングよくリビングに来たきょもさんは珍しいものを見るような丸い目で私たちを見た。

「どしたのきょも」
「二人で話してるの初めて見たから珍しいなって」
「えー？俺ら結構話すよ。ね？Aちゃん」
「え？う、うん！」

勢いよくうなづいた私を、慎太郎くんは面白そうに笑う。きょもさんは怪訝な顔をして私を見たけど、「ふうん」と興味のない返事をしてキッチンへと向かって行った。

「なんか変なこと言っちゃったかも。ごめん」
「ううん、全然だよ。私の方こそごめんね」
「なんでAちゃんが謝んの」

明るく笑う慎太郎くんは、いつもの慎太郎くんで。

「あ、俺きょもに用があるんだった。またね、Aちゃん」
「あ…また、ね」
「きょもー」

きっと慎太郎くんは今私に気を遣ったような気がする。…ううん、気じゃない。とても繊細な人だなって痛感。
きょもさんを追いかけて行った慎太郎くんがいなくなってしまって、いよいよ一人になってしまったリビング。
キッチンからは慎太郎くんときょもさんの話し声が聞こえてきて、私もそろそろ部屋に戻ろうと重い腰を上げる事にした。

だから私は気付かなかったのだ。
慎太郎くんときょもさんの会話の中に私の名前が出てきた事と、慎太郎くんがきょもさんに言った言葉を。

「なに」
「俺さ、もしかしたら好きなのかもしんない」
「好き？何が？」
「んー…うん、まあ、Aちゃんのこと」
「………ふうん」