ロゼッタ２ (ページ25)

今日:16 hit、昨日:15 hit、合計:108,633 hit

02 ページ25

え？と声を上げた私は慎太郎くんを見る。
すると、下を向いていた慎太郎くんは私の視線に気付いたのか顔を上げて、困ったかのように苦笑いをして口を開く。

「あー違う違う、これは俺の勝手な考え方の話。だからAちゃんが違うって言うなら違う」
「……うん」
「なんか変な空気になっちゃったね、ごめん」
「ううん…全然、謝らないでよ」

私こそ変な反応しちゃってごめんね。慎太郎くんにそう思われてるとは思ってもみなくて、びっくりしちゃったんだ。

『今も髙地のこと好き？』

樹くんに言われたあの日のことも、『北斗のことが好きなのかなって』って慎太郎くんに言われた今も、私はどちらも否定してない。

…正直言って、分からない。
私は今の自分の気持ちが。

「…慎太郎くんは、どうしてそう思うの？」

だからこれは慎太郎くんに聞こうと思った。
優吾とは昔付き合っていたことがあるから、を理由に出来るとしても、松村さんは違う。慎太郎くんから見た私はどう映っているのか、それを聞いてみたくなったのだ。

「んーそれは」

困ったように眉を下げて、言ってもいいの？って目をした慎太郎くん。じっと慎太郎くんを見つめていたら、慎太郎くんは小さく笑って口を開いた。

「北斗と話してる時のAちゃんの顔とか」
「顔…」
「なんだろ。うまく言えないんだけど、北斗と話してる時のAちゃんの横顔がさ、なんか可愛いなーって思っちゃうんよね」

あまりにもふんわりとした笑みを浮かべて慎太郎くんが私を見るから、慎太郎くんから見た自分のことを聞いた数分前の自分に後悔した。
いつも明るくてかわいらしい笑顔の慎太郎くんしか知らなくて、初めて見たこの表情に私はとても戸惑った。
そんな風に微笑まれてしまうと、どう答えたらいいか分からなくなってしまう。