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「待って、俺がやる。Aちゃんは座ってて」
「ありがとう」
「んーん、全然いいよ」
と、慎太郎くんはマグカップを二つ持ってキッチンへと向かう。
明るくて無邪気に笑うのに、時折見せる優しさが慎太郎くんらしくて。
…だからかな。
さっきのあの女の子は、そんな慎太郎くんを好きになったんだと思う。
真っ直ぐで優しくて明るい彼に惹かれるのはごく自然なことだって。
慎太郎くんの返事を聞いて、ああ、これは初めてじゃないんだろうなということも分かってしまって、あの女の子の後ろ姿を思い返したら、何故だか胸がちくりと痛んだ。
今日はクリスマスイブだな
隣の席の先輩がなんとなく呟いた言葉で、ああもうそんな日が来たんだなと実感する。
年末も近くなってきているし、今日はみんな夜ご飯はどうするんだろう。
朝ジェシーくんが『夜は食べてくるから大丈夫』って言ってたし、樹くんも『俺も今日は早出するからいいよ』ってジェシーくんと話しながら言ってたから二人は食べないとしても、他のみんなからは何も言われてないから何かクリスマスらしいものを作った方がいいのかな。
お昼休みに自分で作ったお弁当を食べた後ネットで『クリスマス 料理』で検索してみる。
ローストチキンなら意外と簡単に作れそう。あ、リースの形をしたサラダもかわいいし、ご飯にするならピラフもなんとなくクリスマスらしくていいなぁ。
材料をメモに打って保存した後、帰りにケーキ屋さんにも寄ってみようと決める。
そうしているうちにあっという間に定時がきて、私は急ぎ足で駅近くにあるケーキ屋さんへと向かった。
「…買いすぎちゃったかも」
と、思わずぼやいてしまうくらいには買いすぎた自覚はある。
優吾の家には何故か3段のスタンドが食器棚にあるから、今回はみんなが好きなのを選べるようにプチサイズのケーキを全種類2個ずつ買ってしまった。…だってかわいいんだもの、プチサイズのケーキ。
これは先に一旦家に帰って冷蔵庫に入れてから買い出しに行こう。
そう思って家までの道のりを歩いていると、前で立ち止まる見覚えのある顔にピタリと足が止まった。
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作者名:りく | 作成日時:2021年12月23日 21時