ロゼッタ２ (ページ20)

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最後までニヤけてしまう顔を抑えることは出来なかった。
それでもきょもさんはどこか満足げに笑って、大きく背伸びをする。

「来年もよろしくお願いします」
「年越しまでまだあと一時間はあるけど、フライング？」
「いいじゃないですか。みんなと話し込んでるうちに、気付いたら年越ししてました！は、なんとなく寂しいですもん」
「…そういうもん？」
「そういうものです」

ふふ、と声に出して笑ってみる。
叶うなら、来年も。できる限りでもいいから、迷惑にならないようにみんなと過ごせていけたらいい。
そう思っていると、きょもさんは見惚れてしまうくらいに優しい微笑みを浮かべてくれていた。

✴︎

「Aちゃーん、俺のニット知らない？」
「さっきジェシーくんソファーに置いてるの見たよ」
「Aちゃん、そこにピアス落ちてる」
「えっうそ！ありがとう樹くん」
「ねえ、俺の分のミネストローネは？」
「ちゃんときょもさんの分も残してますよ。火にかける時は弱火にして下さいね」
「Aちゃんそろそろ出る？俺も電車乗るからさ、駅まで一緒に行こうよ」
「うん。あとは髪をしばるくらいだから、もうちょっと待っててね慎太郎くん」
「その前にほれ、忘れもん」
「あーそうだった。優吾もはい、お弁当忘れないでね」

お正月も終わり、またみんなにそれぞれの日常が戻り出した朝。
珍しく早起きのきょもさんと、シャワーを浴びて目を覚ましたのか、テレビを見ながらぼんやりしている樹くん以外、みんなこれから出掛ける。
例えばジェシーくんと慎太郎くんはアルバイト、優吾と私、それから松村さんは仕事へ行く。

「ボサボサじゃん」
「バタバタしてたらつい…」
「時間ないでしょ、かして」

ゆっくりと髪をしばる時間がなくて、櫛で梳かしているところに手を伸ばしてきたのは松村さんだ。