ロゼッタ２ (ページ18)

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ジェシーくんは最短ルートを行こうとするよりも、寄り道をして色んなアイテムを得ていくタイプ。優吾と似て堅実ではあるけれど、アクシデントがあったとしても明るく笑って次に行こう！ってなれる前向きさがいい。
一方でゲームを理解している慎太郎くんは、ルールがよく分かっていない私たちに的確なアドバイスをしてくれている。もちろん初心者の優吾たちに手加減をするつもりもないようで、実は一番この中で有利な位置にいるのは常に慎太郎くんなんだとさすがの私でも気づいた。
今もさっきゴールをした優吾にお邪魔カードと呼ばれるものを使って、優吾が進もうとしているルートを妨害してる。
あ、優吾悔しそう。きょもさんはニヤけてる。
なんかこういうのいいなあ。
みんなのやりとりを見ながら、初めて過ごす賑やかな大晦日に呑気にそんなことを考えていた。

「きょもさん、」

ジェシーくんと優吾、慎太郎くんがリビングでゲームを続けているところをそっと抜け出して、キッチンを覗いたら「疲れた」と一旦ゲームを中断して、インスタントのおしるこを食べていたきょもさんに声を掛ける。
少し眠たそうに伏し目がちなきょもさんは顔を上げると、「なに」と口を開いた。

「前、いいですか？」
「別にいいけど」
「ありがとうございます」

テーブルを挟んできょもさんの席の向かい側にそっと腰をかける。
正面にいる私を見たきょもさんは、色白な指で長い前髪を邪魔そうにいじった。

「ゲームはいいの？」
「見てる方が好きなんです」
「ふうん」
「大晦日って毎年こんな風に賑やかなんですか？」
「毎年っていうか、今回は慎太郎もジェシーもいるから。残るのはだいたい俺か髙地だけだよ」
「そうなんですね」
「今年はまあ、あんたもいるし。うるさいのは嫌いだけど、こういうのは嫌いじゃない。ゲームに負けるのは嫌だけど」

ムッとするきょもさんは、さっきのゲームをまだ引きずっている様子だった。
結局あの後順位が最下位だったのはきょもさんで、三番目がジェシーくん、二番目が優吾で一位はベテランの慎太郎くんだった。
ジェシーくんと慎太郎くんが「Aちゃんも一緒にやろうよ」と言ってくれたけど、見てる方が楽しいからやんわりと断ってみんなでわいわいしている様子を見ながらくすりと笑っていたのは秘密にしておこう。