ロゼッタ２ (ページ17)

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「ん、どうしたの。顔赤いけど」
「な！…んでも、ありません」
「そう？」

もしかしたら、松村さんは自分の表情に気づいていないのかもしれない。じゃあこれは自然に出てきたものなのかも。
だとしてもあまりにも優しくて、そう、まるで…

「松村さんはいいお父さんになりそうですね」
「…話が全く見えないんだけど」

首を傾げる松村さんに「なんでもないです、忘れてください」と答える。
昔父が私に見せてくれた、その表情にも似ているんだ。仕事で忙しくして疲れて帰ってきているのに、学校であんなことやこんなことがあったよと話す私に笑顔でうなづいてくれていた、あの慈愛に満ちた目が、すぐそこにあった。

「とりあえず髙地に貧乏神くっつけていい？」
「ふざけんな！あ、おい大我バカわざとこっちにマス進めてくんな！」
「ねえ待って、こーちにエンジェルついたじゃん！えー！いいな！」
「え、いいの？」
「毎ターンお金をくれる最高の神さまだよ」
「…はー、つまんな。マスがギリ足りなくて髙地に貧乏神擦りつけんの失敗したし、髙地そのエンジェル俺にちょうだい」
「いやそれあげられないから。髙地に近づいても意味ないからきょも」
「あ、俺またゴールしたわ」

みんながやっているゲームはいわゆる人生ゲームというやつで、よく分からないと言いながらも、さっきからやたらとぴたりゴールである駅に一番で到着するのは優吾。
その度にきょもさんは「面白くない」とふててしまうのだけど、このゲームに詳しい慎太郎くん曰く、「髙地は買い付けをしてないから損してるしそれじゃ負けるよ」って助言するたびにきょもさんは嬉しそうな顔をするのが見ていて面白い。
今みんながしてるのは人生ゲームのようなものらしくて、桃のマークがついている電車のゲームだ。このゲームは人間性がよく見える。

確かに優吾はゴールするたびにお金をもらえるのだけど、もったいないからとほぼ貯金をするタイプ。
きょもさんは、優吾とは正反対で例えるならギャンブラータイプだ。
お金が貯まれば躊躇なく物産を買い占めて土地も買う。さっきの回で貧乏神が憑いてしまい、せっかく手に入れたカードを謎の行為で無くしてしまう。その貧乏神を優吾に憑けようとしているけど、どうやら相手は誰だっていいらしい。