ロゼッタ２ (ページ2)

今日:14 hit、昨日:26 hit、合計:108,616 hit

03 ページ2

「もう決めたし、髙地ときょもにも連絡しちゃった」
「えっ、もう！？」
「まあ正しくはたった今だけど。でも俺、そう決めたから。Aちゃんも強制参加ね」

楽しそうに話す慎太郎くんを見ていたら、とてもじゃないけれどダメだよなんて言えなくて。
「ありがとう」と言ったら慎太郎くんは「何のこと？」って視線を逸らしたから、それはきっと彼の照れ隠しなんだと思ったら自然と口元が緩んだ。

話の流れで慎太郎くんとLINEの交換もして、きょもさんと優吾から大晦日の予定のOKが出たって慎太郎くんは嬉しそうに話してくれた。
そのあとも夜ご飯を作っている間ずっと慎太郎くんはいろんな話を聞かせてくれて、いちいち驚いたり怖がったりする私を「Aちゃんっておもしれー！」って満足そうに笑ってて、なんだか揶揄われていたような気もするけど、いつもより楽しく料理が出来た気がしてなんだか嬉しくなる。
ジェシーくんもそうだけど、慎太郎くんとジェシーくんはまるで太陽みたいだ。
そこにいるだけで明るくて楽しくて、笑顔になる。

「Aちゃんはいつから料理始めたの？いつも思うけどうますぎない？俺あれも好きなんだよね。なんだっけ、昨日食べたやつ。名前が思い出せない」
「昨日作ったのは鮭のムニエルかな？そんなに褒めてもらえるなんて嬉しいなぁ、ありがとう」
「そう！ムニエル！で、いつから料理を始めたの？」
「んー…多分中学に入ってすぐかな？その頃からガスの使い方が分かるようになって、テレビの料理番組で見たレシピをメモしてみたり、図書館で料理本を借りたりしてたよ」
「へー。俺図書館なんて北斗しか行かないもんだと思ってた。Aちゃんも本とか読むんだね」
「今は時間がある時だけだけどね。そういえばこの前も小説が原作の映画があって、そこで松村さんとばったり会ったなぁ」
「えっ、それってデートじゃん？北斗が女の子と二人でとか珍し…」
「本当にたまたま偶然会っただけだよ？」
「偶然ねぇ」

もうすぐ帰ってくるはずの優吾ときょもさんを待っている間、私たちはリビングで話している。
ニヤニヤと、それはまるで悪だくみをしている無邪気な子どもみたいな顔をする慎太郎くん。
たくさん話をするうちにお互いのマグカップはすっかり空になってしまい、何か淹れようと席を立つ…いや、立とうとした。