Feather (ページ7)

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マシュマロと囁きページ7

「…あり、がとう。ありがとう、京本くん。すごく嬉しい」
「うん。喜んでもらえてよかった！」

宝物みたいに両手で抱えたカラフルなマシュマロ。
これは賞味期限ギリギリまで食べられないなあ、すぐ食べてしまうなんて勿体ない。

そのあとすぐに寝ぼけ眼を擦りながら田中くんがやって来る。「きょもとAちゃんじゃん」、田中くんの声が降ってきたところで私は二人に頭を下げて走って教室に向かった。
京本くんだけじゃなくて田中くんまで一緒に話してたら、また何を言われるか分からない。
私はできるだけ平和な学校生活を送りたいのだ。

二人が後ろで何かを言っていたけどそれは聞こえなくて、代わりに「三軍のくせに」って女の子の声が耳に響いた。

廊下で悲鳴みたいな歓声がするとしたら、それは一軍の誰かが近くを通った時の合図。

することがなくてルーズリーフの隅に落書きをしていた手を止めて廊下を見ると、田中くんがこちらを見ている。
誰かを探してるんだろうなって落書きをする手をまた動かして、なんとなくへのへのもへじを描いてみる。

「それ髙地がよく描いてんなぁ」

ぴたりと描く手を止めて顔を上げてみる。
真上から降ってきたきた声の持ち主は田中くんで、田中くんは私と目が合うとにこりと笑って耳元に顔を近づけてくる。

「Aちゃんが来てくれないから来ちゃった」

私にだけ聞こえるような囁く声。
…大丈夫、まだ穏やかさを保てられる。