Feather (ページ42)

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「俺の兄貴の今の彼女のこと、昔好きでさ。
もちろん二人が付き合う前の話ね。

年上だけどなんか危なっかしくて、不器用なくせに強がりだからほっとけねーなって思ってた。
気づいた時には好きで、年下だからってガキ扱いしてくるそいつに言ったことがあんの。
『もし俺が今より頼りになる男になれたら、一人の男として見てくれ』って。

あれ俺の中でめちゃくちゃ勇気がいった告白でさ。
分かったって言われただけなのにマジで嬉しくて、あの時はまだ中一だったけど俺なりに色々頑張ったの。マジで。
それで俺が中学を卒業する時、自分の中でケジメをつけたくてそいつを呼び出そうとしたんだけど…まあ、もう兄貴と付き合っててさ？
別に約束したわけじゃないけど、そういうちっちゃな記憶なんか月日が経てば薄れるもんなんだなって現実見たっていうか。…うん、まあ荒れたよね。色々。

多分Aちゃんと初めて話した時が1番ヤバかったな。マジでAちゃん美人だし、大人しそうで周りにいないタイプの女の子だったからちょっと珍しくて、仲良くなれたらラッキーじゃんって思ってた。…ごめんね。

でもAちゃんを見かけて話す度にこの子は違うって思い始めて、きょもだってAちゃんのこと特別な目で見てたの知ってたし、なんて言うんだろ。
三軍とかくっだらねー評価されてもAは変わらず俺らと話してくれたし、ちゃんと見てくれてたでしょ？それがシンプルに嬉しかった。

ミケのこともそう。
見つかったのがAちゃんでよかったって思ったのも本当だし、内緒だなんて俺のくだらないプライドに付き合ってくれたのも嬉しかったんだよね。

だからかな、北斗…だっけ？
そいつと歩いてくAちゃんの後ろ姿を見た時、正直焦った。
またあの時みたいに薄れていくんじゃねーかなって。
…多分ね、独占欲。ダサいっしょ？

それで八つ当たりみたいにしてAちゃん傷つけて、部活もサボりがちになってたし。
きょもにも怒られちゃった。
大切な女の子を傷つけるなって。
言われて気付くのもダサいんだけど、本当に…」

そんなことないよ
そう言いかけてやめたのは、ミケちゃんを見ていた田中くんの目が今度は私を映したからだ。