Feather (ページ21)

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やたらと騒がしいと思って帰り支度をしながら校庭の向こうを見ると、ちょっとした人集りが出来ていた。
目を凝らしてよく見てみれば、正門の前で本を眺めている学ラン姿の人がいる。その人を見て騒いでいる人たち。の先にいるあの学ラン姿は、間違いなく北斗だ。

『正門前には来ちゃダメ』

って北斗にLINEをしたのに、既読もついてたのにこのオチ。

「ねえあの人誰？」
「さあ？でもあの学ランってさ…えっ、ヤバくない？」
「ちょっとあたし見てくる！」
「えっずるい！待ってよ！」

クラスでも少しずつ騒ぐ人が増えて頭を抱えていると、「あれっどうしたのAちゃん」って私を見上げるのは、まだ席についたまま不思議な絵を描いていた京本くん。

「ううん、なんでもない」
「そう？それより見てこれ、俺の傑作」
「…えーと、これは…？」
「バナナ武将」

ドン、と効果音が付きそうなくらい不思議なイラストを見せてくれる京本くん。
「武将？あれ？奉行？ん？」と自分が描いたイラストを見て首を傾げてる。京本くんのマイペースなところ、正直嫌いじゃなくていつまでも見ていたい。
田中くんが「きょも～」って京本くんにいつも肩を組む姿を見てるけど、今ならその気持ちがよく分かる。京本くんはなんだか癒される。すごく。

「ふふ、京本くん。また明日ね」
「あ、帰るの？気をつけてね」
「ありがとう」
「うん。明日ね～」

京本くんは軽く手を振ってくれて、机に向き直るとさっき見せてくれた不思議なイラストに色を塗り始めていたのが見えた。本当にかわいいな、と思いながら私は正門へと急ぐ。

案の定人集りが増えていたその先に北斗がいて、まるでタイミングが分かっていたみたいに北斗はずっと見ていた本を綴じて顔を上げて私を見た。

「お疲れ」
「お疲れ…じゃなくて、ねえちょっと…」
「なに」
「なに、じゃない。正門はダメってLINEしたじゃない」
「そうだっけ」
「…ねえ、」
「Aの学校の前ならもう何度も通ってるし、俺からしたら今更だけど」