Feather (ページ13)

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今度Aちゃんのバイト先行っちゃおっかなぁ
。
今度ね。
なんか来てほしくないみたいな言い方すんね？
だって恥ずかしいじゃない。
恥ずかしい？なんで？
バイトの時の私はいつもとちょっと違うし、知り合いがいるって思いながら働くのは緊張するもん。
じゃあ行かない方がいい？
…その聞き方はずるい。
でしょ、俺ずるい男だから。

なんて会話をしてるうちに、あっという間に私の家の前。

「送ってくれてありがとう」
「うん。また明日ね」
「明日？」
「会うじゃん、学校で」
「…そうだね」
「ほら、早く家に入りな」

田中くんに言われて玄関のドアを開く。
「またね」、そう言って振り向いたら田中くんは手を振ってくれた。

そのあとドアを閉めて真っ直ぐに部屋に行く。
「帰ったの？おかえりー」とお母さんの声に「ただいま」って返事をしながら部屋の電気をつける。

机の上に鞄を置いてカーテンを閉めようと窓に近づく。…と、薄暗い外に人影が見えて目を凝らす。

「えっ…」

驚いて窓を開けたらやっぱり田中くんがまだ外にいて、なんでって目を丸くする私に田中くんは少し笑って踵を返して行ってしまった。

こう見えても結構紳士だから

そう言って笑ってた田中くんを思い出して、田中くんが見えなくなった外をぼんやり見つめる。
最後まで見届けてくれていた。そんな小さな優しささえ、温かい。