Feather (ページ2)

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「ね、ミケちゃん」

私の呼びかけに答えるようにニャアと鳴くのは三毛猫のミケちゃん。
大きな土管の中の私とミケちゃんは、今日もここで待ち合わせをしてる。

この仔と出会ったのは土砂降りの放課後。
傘を忘れた私が走ってこの場所を通り過ぎようとした時、猫の鳴き声がした。
最初は通り過ぎようとしたのだけど、寂しげに聞こえたその鳴き声に吸い寄せられるように足を踏み入れた空き地。

普段なら視界に入るだけで寄り付きさえしなかった。声がした方へ近づく。多分、この土管の中だ。
中を覗いたら仔猫がこちらを向いて鳴いている。
捨て猫、のわりに元気そう。お腹を空かせて鳴いていたわけではないらしい。
じゃあ何故？と思っていたら、仔猫は私へと近づいてくる。そっと手を伸ばしたら匂いを嗅ぐように鼻をピタリとつけた仔猫は、やがて私の手を舐めた。それがこの子との出会いだ。

三毛猫だからミケちゃん。ミケちゃんって呼ぶと、ニャアと返事をしてくれる。
あれからしばらく経った今、仔猫だったミケちゃんも随分と大きくなった。
週三で始めたバイトで稼いだお金で買ったちゃおチュールはミケちゃんの大好物。
ミケちゃんが夢中になって食べているのを見て癒されていると、近くで砂利を踏んだような音がする。
ミケちゃんの耳がぴくりと動いてピンと立つ。

「やっぱここにいた」

土管の中の私たちをしゃがんで覗き込んできたのは、さっき体育館で黄色い声援を浴びていた張本人の田中先輩こと田中くん。