【銀魂】エ ン ヴ ィ ー 彼 氏

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『車で送ってやろーか』

『いえ、そこまでご迷惑をお掛けするわけには……』




遠慮する私に、今更かと鼻で笑う。彼は私の横を通り過ぎて、玄関まで歩いて行った。「早く来い」と私を急かし、車の鍵をぶらつかせる。


最後に部屋の匂いをすん、と嗅げば、どこか甘ったるい空気に変わっていた。





『……後悔してんのか？』

『え？ ……いや』




何が、と聞かなくても、きっと高杉さんと行為を行ったことだと分かっている。「してます」なんて口が裂けても言えず、ただ私は苦笑いで乗り切ろうとした。


信号が赤のため、車は緩々と動きを止めて行く。ブレーキレバーに手をかけていた彼だが、不意に私の方へ顔を近づけ、またもや口唇を触れ合わせてしまう。



しかし今度は深くなく、玉響のキスであり、呆然とする私を見てはくくっと喉を鳴らして、ハンドルに手をかけた。




『何で、まだ、キスするんですか……』




スカートの裾を握り締めながら彼に聞けば、「覚えてないのか」と聞き返される。

必死になって何かを思い出そうとするも、脳がそれを拒んでいた。




『やってる最中ずっとお前は俺にキスしろキスしろっつって、なかなか放してくれなかったんだぜ？』




そう言って彼は自分の首元を片手で覆う。チラリと見えた首筋には爪が立てられたような痕があり、恐らく私がつけたのだ。



それ以上会話は弾まず、いつの間にか私のマンションの前に着いている。彼に礼を言ってから車を降りれば、軽く手をヒラリと振り、発振させた。


見えなくなるまで車を見送ったが、途端に自分の言動に頭を抱えたくなる。バカすぎて、笑えない。


明日から、どんな顔して彼に会えばいいのだ。

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