オレンジパラドックス３((Daiki.A))

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大貴「正直、一目惚れした。可愛いなって思って、」




不意打ちすぎる褒め言葉に、頭はさらに混乱する。


聞きづらい話の中にすんなり嬉しいことを入れてくる所、

本当に彼はずるいと思う。





大貴「そしたらAがせふれになってください！って、


ははっ、びっくりしたなぁー」


『あれは…忘れて。恥ずかしい…』


大貴「でもそれで、ひょっとしたらって。俺のこと悪くは思われてないんだなって思って。


色々考えた結果ね、住めって言ったの」


『…色々考えた結果？』


大貴「うん。それで断られたら体目的だったんだなって思うことにして。


職業柄、むやみに外で会うこともできないし、

もし住んでくれたら、明日香との関係も終わりにできるかなって」


『明日香ってあの…』


大貴「元カノ、ね。

ずっと終わりにしたかった。好意ももう無くて、」





はぁ…と、また彼がため息をついた。


それにつられて私もため息をつく。




あの電話の相手は別れられない元カノ…


彼は元カノに気をつかって明るく話していただけだと思うと、

なんで簡単に彼女って思ったんだろうと、自分の考え方に腹が立つ。






大貴「でも別れ話をしようとすると遮られてね、やっぱり終われないままで。

だけど無理やり終わらせるわけにもいかなくて。


それで今日も来た」







大貴「普通に話してただけなんだけど…


なんの前触れもなく、いきなりキスされた。

混乱して、離れることができないうちに、Aに見られた…ってわけで、」



『そんなことが……』





彼を責める気持ちは消え失せた。


恋愛って難しいものだ。

きっぱり別れられないことだってある。


私が昔、浮気された彼氏に対する思いを断ち切れなかったのと一緒で。



そしてそれを許せた一番の理由は、

彼が隠さずちゃんと話してくれたこと。



私のこと本気にしてくれてるんだなって、思えたんだ。

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