オレンジパラドックス((Daiki.A))

＊ ページ13

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『…は、はい』

大貴「やだ？」

『別に大丈夫です』




嫌じゃないし、“ウニ”なんて呼ばれるのは珍しいことじゃないし…




ただ、私は、

昨日よりもずっと怖くない彼に驚いている…だけ…





大貴「俺のことは何とでも呼んで」

『えーっと、…』

大貴「じゃ、“アリ”でいいよ

お前がウニだから、俺はアリ。…どう？」

『それで、いいです…』




てかこの人誰なの？



どんな職業で、人柄で、
年齢も出身も知らないのに


こんな人の家にいて大丈夫なわけ？




自分の中で生まれた疑問がどんどん大きくなっていく。




大貴「じゃあ自己紹介する」


『え、』



まるで私の心を読み取ったのかと思える彼の言動に息が止まる。


彼と目が合う数秒。




大貴「どうかした？」


『いや、なんでも…』



さすがにそんなわけない、と自分を落ち着かせる。


だめだ。今の私は、完全に彼に動揺させられまくってる。




落ち着け…冷静に…




大貴「有岡大貴27歳。最終学歴は高校。で、今の職業は…」


なぜか目を泳がせる彼。






大貴「言わない」


『…はぁ？』



職業を隠した意味のわからない行動に、

思わず出た言葉。



あー、冷静に聞いてたはずだったのに。




大貴「そんなに驚く？」

『え、だって大事な所じゃ…』

大貴「んー、あんま言いたくねぇんだよ」




……やっぱり


怪しい。



具体的に言わなくても

せめてサラリーマンだとか、会社員だとか言ってもいいのに。




大貴「何だろな。会社員？会社員は違うか

……ま、そのうちわかるよ」



適当すぎるでしょ、ねぇ



職業くらい言ってくれないと…

今から住むかもしれない私の立場になってよ




『はぁ…』

大貴「…なにか？」

『いや、なんでも』



でもそんな言葉、彼には言えなかった。

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