27,寝不足の理由 ページ31
例えば寝る時であったり、例えば食事をしている時だったり、何者かの視線を感じることはよくあった。幽霊、なんてものを信じる年でもないが、信じざるを得ない状況になったことなら幾らでもある。
勝手にドアが開いたりするくらいなら可愛いものだが、鉄骨が落ちてきたりするのは洒落にならない。そして時々耳元で囁くのだ。「代われ」と。
死人に口無し。そんな言葉もあったが、あいつらはよく喋る。恨み、妬み、嫉み…。生への執着、死への否定。自分はまだ生きてると思っている者もいるらしい。
くだらない。この仕事をやっている以上、そんな死人の言葉など意にも返せないというのに。死んだなら、大人しく地獄へ落ちて欲しいものだ。人はいくらでも非情になれるということを、死んで忘れてしまったのだろうか？
バンッと大きな音が静寂をかき消す。クロノが壁に投げつけた時計が、チッチッと針を鳴らしている。
「……はぁ」
耳元で、脳内で。響いていた声がようやく途切れる。最近聞こえなくなっていたというのに。
「あぁ…そうか」
彼女に再会してからだ。これが聞こえなくなったのは。
***
「…クロノさん？」
「……………なんです」
昨日より少しやつれたように見えるクロノに、不思議な視線を送るA。
「ちゃんと寝れてますか？」
「いや？寝れてるように見えます？」
と、お馴染みの悪態で返すが相当酷いらしく、普通に心配されてしまった。そんなに酷いのだろうか…と考えるが、鏡を見に行くのも億劫なのでやめた。
「そうですよね…少し寝たらどうですか？私が見てますから」
「…なら…寝れるかも…しれません」
そう小さく呟くと、死んだようにソファに倒れてしまった。本当に寝不足だったらしい。「なら寝れる」の意味はAには分からなかったが、重要な意味はないだろう。と、皿洗いに戻った。
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百聞(プロフ) - にぼしさん» クロノさんの小説を書いてる方があまりいなかったので、「なら書けばいいのか」と書いてきた甲斐がありました。これからも頑張ります (2019年6月26日 5時) (
レス) id: 7e22305852 (このIDを非表示/違反報告)
にぼし(プロフ) - 完結おめでとうございます！百聞さんの作品、とても大好きなのでほぼ読んでいます(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) クロノさん私も大好きで、百聞さんの作品ページを見つけた時には「なんだこりゃ宝の山じゃねぇか」と呟きました← 応援してます！ (2019年6月14日 23時) (レス) id: 0eb6443998 (このIDを非表示/違反報告)
百聞(プロフ) - 刹鬼さん» ぐだぐだ長く続けていたので、納得していただける文になっているか不安でしたが、そのようなコメントを頂けて嬉しいです。頑張ります (2019年6月11日 21時) (レス) id: 7e22305852 (このIDを非表示/違反報告)
刹鬼(プロフ) - 初めましてです。コメント失礼致します。完結、おめでとう御座います。読んでて凄く面白かったです。もう大好きです、この作品。あと、感動致しました…！(涙腺が脆いだけ)これからも頑張って下さい(？)長文失礼致しました。 (2019年6月7日 19時) (携帯から) (レス) id: 363b2bec95 (このIDを非表示/違反報告)
百聞(プロフ) - 瑞林さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます。皆様の応援のもとに作品が完結出来ています。試行錯誤しながら完結に導いていくので、これからよろしくお願いします。 (2019年2月5日 10時) (レス) id: 4f8744d443 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：百聞 | 作成日時：2018年4月29日 17時
