めがね (ページ30)

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終電に揺られてサコさんと俺は家路についている

あの後、伊沢さんとふくらさんは2人でオフィスで泊まるということで
俺たちはオフィスを後にした

ずっと放心状態で伏し目がちのサコさんは
自分の行為を悔やんでいるようだった

「サコさん、今日は家まで送らせてね」

「...........あの、嬉しいんですけどそれだと山本さんの駅の過ぎちゃうし山本さん帰れなくなっちゃいますよ」

「あ、ほんとだ。俺バカだなー。笑」

「山本さんはほんと優しいんですね」

「皆にじゃないよ」

「え？」

「サコさんだってそうでしょう？」

「というと？」

「誰でも良いって訳じゃないでしょう？」

「...........」

「俺は今までもこれからもサコさんしか見てないよ」

「山本さん....」

「今こんなの言うときじゃないのはわかってる」

「..........」

「泣いてる好きな女の子を、1人で帰らせるわけにはいかないよ」

俺はサコさんの手を握って
俺じゃない人とその人の彼女を想って泣くサコさんのそばでずっといたいと思った

たとえ二番目でもいい覚悟はできている

「うち、狭いけど良かったら来ない？話し聞かせてよ」

サコさんは涙しながらコクリとうなづいた