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*英二視点*
その日、僕は第2講義室にいた。
たとえハルがこの出来事を忘れたとしても、きっと僕は忘れない。
俺がハルに与えられた能力を使えないのと同じで、Masterの支配範囲は俺には及ばない。だからこそ、出来ることがあるのではないのか。
「いよいよ明日ですよね、英二さん」
第2講義室で剣作りの作業をしている零が声を発す。彼は明日のために、切れ味のいい物の材料を調べ上げ、最高のものを作っている。
「なぜそんなに本気になれる?」
ハルの声でそう言ってみる。
「負けたら忘れてしまうだろ?勝っても、何があるかわからない。なのに、どうしてそこまで本気になるんだ?」
金属を操りながら、彼は表情を変えずに返答する。
「だからですよ。負けて忘れてしまうのなら、それでいい。負けたらこの能力も使えないことになる。なら、本気を出した方がいいだろう?僕はMasterと関われて嬉しいと思っるよ。3rdは、思いっきり楽しみたいよ」
「俺はそうは思わない」
研究を続けてきたからか、「答えのない問題」が嫌いだ。Masterに関わらんじゃなかったと考えている。
「英二さん、そうですか?まぁ、考え方は人それぞれですからね」
時間なので帰ります、と零が部屋から出て行った。
俺にも、勝ちたいという思いはやはりあった。しかし、諦めていたのかもしれない。悪足掻きになるかもしれないが、ちょっとした作戦を実行することにした。
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作者名:夢詩どれみ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年10月28日 20時