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零とともに学校へ向かう朝、昨日リストバンドから変化したスマホを触る。
「あ、コレ、ネットにも繋がるんだ。」
校則により、なぜか携帯電話はガラケーのみとなっている。しかし、Masterは「学校に持って行っても大丈夫、校則については、こっちがなんとかする」と言っていたので、なんとなく持って行ってみることにした。
「そもそも、携帯はスマホ禁止ってのがおかしいんだよ。世の中は令和だというのに。」
零のその意見に納得し、スマホをちょちょいと触る。
今日の2年2組は、いつもより騒がしかった。
「なんでこんなに騒がしいの？」
「美紅……見てみろよ。宇都宮が三浦に挑んでる」
それは、クラスの中心的人物の宇都宮と、戦略家の三浦がボードゲームで対戦しているところだった。三浦の方が優勢だ。
「ここに置いたら勝てるよ」
三浦が空いているマスを指差して言う。後から思い返したら絶対信じないだろう。しかし、宇都宮は三浦の言葉を間に受けて、そのマスにコマを置いてしまった。三浦は宇都宮を見下すように、少しだけ笑った。
「気づかなかったのか。ここに置いたら“僕が”勝てるよ、という意味だったのに。」
自分が無謀な挑戦をしたにも関わらず、相当悔しがっている。励ますためにも、声をかけてみる。
「三浦くん、強かったね……。」
「俺は三浦に負けたことに悔しがっているんじゃない。三浦に見下されたことが悔しいんだ」
確かに、三浦君は一部のメンバー以外の人と喋っているのを見たことがない。宇都宮君は、三浦くんに他の人と喋るように催促するため、ボードゲームに挑戦したのだ。
「でも凄いよ。宇都宮君は。クラスのみんなと仲良くなりたい気持ちがそれほど強いだなんて。」
「高須って、結構いいこと言うよな。」
横にいた琳も頷く。いいことを言った自覚はなく、少し照れてしまった。
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作者名：夢詩どれみ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年10月28日 20時
