〔ワートリ〕三輪の従兄弟は､一般人(仮)な薄幸少年１６

『後に白い悪魔と称される所以』その３ ページ8

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結局あの３人に各２勝ずつしポイントもそれなりに稼げたので､
流石にもう終わりにするのかと思いきや…

遊真がさらに「もう１週」と、容赦なくとどめの３週目に突入しようとしていたのを俺はどうにか思い留まらせ､
一度休憩をとろうと俺達はブースの外へ出てきた｡


…あれ以上続けたら３人とも、心折れるどころか本気でトラウマになりかねない……;;



[遊真、そこの自販機で何か飲み物でも買おっか]

空閑｢うん｣



…それにしても、遊真が“新３バカ”とか言ってるあたり｡

なにやらあの３人に対して良くない印象を持ってるみたいだったけど、何かあったのかな……?


そう思っていたら、俺達を見た周りの隊員達が遠巻きにひそひそと何かを言っているのに気付いた｡

よく耳をすませば「玉狛の白頭だ…!!」とか「あの戦闘訓練１秒切りの…」とか様々な言葉があちらこちら聞こえてくる｡

昨日と今日で、遊真はＣ級隊員達の間ですっかり有名になっているようだ｡


空閑｢ふーむ…｣

[どうかした?]

空閑｢オサムの話ではこの鉄っぽいのもおカネらしい｣

[? うん]


隣を歩いていた遊真が悩ましげに小さく唸ったので､
気になり問えば返ってきたのはお金に関した唐突な話題｡
俺は意図が読めずに首を傾げる。

遊真は手に持った５００円玉を見つめながら、難しい顔をして続けた｡


空閑｢だが鉄のやつよりも紙のやつの方がずっと価値は上だという…、紙なのに…｣


つまりは、硬貨と紙幣の使い分けが不思議だってことか…｡
……そういえば、遊真はこっちに来たばかりだったもんな｡


レ｢ふむ。見たところ基本的に数字が上がるほどサイズが大きくなっている｡

金属のままこれ以上いくと重すぎて持ち運びが困難になる。それを避けるため軽い紙で代用しているのではないだろうか｣


小さい形に姿を変えたレプリカさんが、遊真の首襟の陰に隠れながらその疑問に答えた｡


空閑｢む……いちおう納得はできる｣

[あ、待って]

空閑｢…?｣


俺は５００円玉を自販機に入れようとする遊真の手をやんわりと止めた｡

その代わりに俺はポケットから財布を出して、自販機にお金を入れる｡


[よしっ。じゃ遊真、好きなの選んで]

空閑｢え、いいの?｣

[もちろんっ。
それに遊真には前に飲み物分けてもらっちゃった事もあるし､
ここは是非とも俺に奢らせてほしいな]

空閑｢ふむ…わかった。
では、有り難くいただきます｣

[どうぞどうぞ]



そうして遊真が缶ジュースを１つ選んで買った後で、

続けて俺も いつも通りの野菜ジュースを購入した。


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