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Bootiful Halloween! _kwmr ページ32

※高校生パロ注意


「はい、河村くんも食べて」

僕のクラスには、なんでもない日によくお菓子を作って渡してくれる女の子がいる。

もちろん、僕のために作ってるわけじゃない。隣の席のよしみで、友達にあげるついでに余分に作った分を渡してくれるのだ。得意だと言っているだけあって、彼女のつくったお菓子は毎回美味しくて、日常のひそかな……いや、大きな楽しみとなっていた。

美味しいお菓子で胃袋を掴まれるばかりか、あっさりと優しい笑顔で心まで掴まれてしまった。


「あ、河村くんだ」

委員会の集まりを終え、昇降口に向かう途中でAに会った。僕に向けられるのはもったいないと感じるくらいのやわらかい笑顔が窓から差し込む陽の光で煌めいていた。

「どこ行くの?」
「んー、帰るところだけど」

せっかく好きな子とふたりきりで話せるかもしれないチャンスがきても、僕は都合の良い話題を見つけ出すことができなかった。

一昨日に貰ったスイートポテトの感想を改めて伝えてもいいけれど、なんだか微妙な気もする。貰ってその場で美味しい、と言いながら食べたわけだし。

「え!河村くんって駅まで歩く?」

悩んでいる僕に浴びせられたのは、ひとつの何気ない質問。でも、このタイミングなら、もしかすると特別な意味が込められているかもしれない。

とくん、と胸が高鳴る。

「うん。Aはどこ行くの?」

勘違いじゃないことを望んで、質問を返す。


「わたしも帰るところ!駅まで一緒に行こうよ」


まっすぐなお誘いを受けて、ゆるりと口角が上がる。少なくとも駅までの約15分間、僕の幸せは確保された。余韻も合わせれば、向こう1週間は幸せでいられるかな。

「……いいよ、帰ろ」

ただ、僕はAに想いを寄せながらも、進展は望んでいなかった。クラスの女子がよく「推してる先輩」の存在について話しているのを耳にするけれど、正しくそういう感覚だと思う。

僕が言うとやけに気持ち悪く聞こえるけれど、Aは僕の推し。だからどうこうなろうとは思わない。認知貰えているだけでハッピーだ。


「もうすぐハロウィンだね」

いくら進展は望まないとしても、せめて退屈だったと思わせない程度の会話はしたい。無理に印象を上げたいわけじゃないけど、下がるのは普通に悲しい。

僕の人生のTrickster→←愛した強みで美しく咲け



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作品ジャンル:恋愛
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ぶっく。(プロフ) - 萊さん» コメントありがとうございます!遅くなってしまうかもしれませんが、第5弾にて書きます!! (2020年12月31日 20時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
- できたら「恋煩いは不治の病」のしあわせ曲線歪ませての続きをお願いします。 (2020年12月21日 21時) (レス) id: 192c096d22 (このIDを非表示/違反報告)
- リクエストでtmrさんをお願いします。これからも頑張ってください。 (2020年12月21日 21時) (レス) id: 192c096d22 (このIDを非表示/違反報告)
ぶっく。(プロフ) - ウィンターくんさん» うわーー!確かにちょっぴり焼木杭みありますね!!何度も読んでいただけるのは本当に本当に嬉しいです!長編も頑張ります!! (2020年12月4日 22時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
ウィンターくん(プロフ) - 焼木杭のほうの続きが気になるときに、いつもこの「今夜はふたり祝い酒」を読みに来ます。『そのつもりなの俺は』 がすごく可愛くて好きです。 (2020年11月26日 17時) (レス) id: 4ee84c0e12 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぶっく。 | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年6月7日 4時

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