思い通う、そんな心強さを ページ48
わたしが問うと、祥彰は立ち止まった。
彼をじっと見つめていたので、彼が涙を堪えているのがすぐにわかった。わたしは堪えきれていないのに、彼は、ぐっと。
「ずっと一緒にいたい、って意味の好きだよ」
わたしの肩にそっと手を添えて、そっと声にした。穏やかな言い方に、まっすぐな視線に、熱が押し寄せる。
彼が、わたしのことを、わたしと同じように好きでいてくれている……？現実として受け止めきれないけれど、彼の表情が現実だと訴えかけてくる。途端、得も言われぬ感情が、わたしの中を支配した。
「……そっかあ、よかった」
堪えきれるはずがなかった涙がまた頬に伝う。生ぬるい感覚が嫌に気持ち悪いので、力いっぱい拭う。声は震えてしまったけれど、きっと祥彰には届いてるだろう。
「わたしもずっと、祥彰のこと好き」
そう言うと、祥彰は口角をぐいと上げてわたしの肩から手を離した。その手は、わたしの左手へと移動して、ぎゅっと握られる。
「それは僕と同じ意味？」
「そう、一緒にいたいって意味」
弱々しく発せられた質問にわたしが答えると、握られていた手がゆるっと離されて、すぐ、指が絡められた。指と指の隙間に、彼の指がすこしずつ侵入する感覚は初めてで、胸の高鳴りを抑えられなかった。
「そっか、じゃあ一緒にいようね、Aさん」
やわらかく笑った祥彰に、愛が、抑えられない。
「僕と、付き合ってくれる？」
でも、抑える必要もないんだ。わたしは愛が滲んだ満開の笑顔を、包み隠さずに彼に向ける。向けても目を逸らされないし、同じような笑顔を返してくれる。愛の滲んだ、あたたかい笑顔を。
「ただいま」
「はい、おかえり」
初めて、一緒に家に帰った。久しぶりに彼の靴が玄関に並ぶ。ここ一週間の憂いは消えた、その前から密かに抱いていた不安も消えた、でも前までの日常を歩み直すわけじゃないのだ。
「明日は一日中一緒にいようよ」
「ばか、大学もバイトもあるってば」
これから、新しく、幸せを創り出すんだ。
「そっか、じゃあ朝一緒に出よ」
しゅんと眉を下げて笑う彼が愛おしくて、つい笑みがこぼれる。この間まで離れるとか考えてた自分がばかみたいだ。
「あと、帰りも迎えに行くから待っててね」
「なにそれ、急にどうしたの」
彼がこんなに愛を注いでくれるなら、わたしも伝えよう。
「もう好きって堂々と言えるって思ったら、なんか浮かれちゃって」
世界に元からある言葉じゃ言い表せないくらいの愛情を。
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ぶっく。(プロフ) - ゆうかさん» 初めまして、コメントありがとうございます！そうやって楽しんでいただけるとすごく嬉しいです…！短編集にて時々書きますのでそちらからぜひお願いします！！ (2020年6月11日 18時) (
レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 初めまして！！！最後まで楽しく読ませて頂きました！！この2人早く付き合えやｯｯと、ややkoちゃん目線気味で見てましたww素敵な作品をありがとうございました！2人のスピンオフ楽しみにしています！ (2020年6月9日 17時) (レス) id: 41b5f36188 (このIDを非表示/違反報告)
ぶっく。(プロフ) - ななおかさん» ななおかさん、ありがとうございます。出会えて幸せ…そう言って頂けて本当に嬉しいです！これからも頑張りますのでよろしくお願いします！ (2020年5月7日 21時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
ななおか(プロフ) - 完結おめでとうございます！素敵な作品、ぶっくさんに出会えて心が幸せです(*^^*)次回作とても楽しみにしています！これからも応援しています！！ (2020年5月6日 21時) (レス) id: f07a41e0f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぶっく。(プロフ) - ゆみさん» ゆみさん、コメントありがとうございます！そこに気付いていただけて嬉しいです、これからもこのふたりはどんどん幸せになります！（？）大好きだなんてめちゃくちゃ嬉しいです…！新作も登録ありがとうございます、これからもよろしくお願いします！ (2020年5月6日 20時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぶっく。
| 作成日時：2020年3月12日 8時
