友達の友達は、友達? ページ34
電車の中で返信がきて、親子丼とのリクエストを貰った。簡単なもので安心したし、家にあるものだけで作れそうなのでスーパーに寄らなくて大丈夫そうだ。はやく帰れるな。
『もうそろそろ着くけど、普通に帰っていいの?』
駅を出て、彼がいたあのベンチのあたりでそう送る。するとすぐに急かすような返信が帰ってきた。誰なのか考えようとしたが、それよりも帰って答え合わせをしたほうがはやいだろう。自然と、歩幅が広くなる。
意識してはやく歩いた。意味もなく信号待ちのときに足踏みをしたし、アパートが見えてからはちょっと駆け足になった。
そんなこんなで、いつもより短い時間でここまで着いたのに、得体の知れない緊張が襲ってきて玄関の前で一呼吸置いてしまう。
「ただいま」
靴を見ると、祥彰のもの以外に男物がひとつ。え、女の子じゃないのか、いや、まあそうだよね。一緒に住んでるのにわたしの家で祥彰と女の子がふたりでいたら、さすがに嫌だもんな。
「おかえりー」
「お、おかえり」
靴を脱ぎながら返ってくる声を聞く。聞き馴染みのある声だ、なんなら今日の昼も一緒にしたあいつじゃないのか。
「え、こうちゃん?」
そう声にしながらリビングに足を踏み入れると、控えめに笑ったこうちゃんと満開の笑顔の祥彰が座ってこちらを見ていた。
「正解!声でわかっちゃうんだ」
「ほんとにA帰ってきた……」
……それにしても、なんでこうちゃん?年齢も大学も違うし、繋がりがあるなんて聞いたことない。でも彼らは仲が良さそうだし、別に知り合ったばかりとかではなさそうだ。
「いや、そりゃわたしの家だからね」
「僕も正式に住んでるけどね」
彼らの方に行って、荷物を下ろす。冷蔵庫と冷凍庫を開いて材料があることを確認する。手伝おうか、と声を掛けられたけれどキッチンは狭いしこのまま話していたいので断る。
「てかふたりは友達なの?」
「……まあ、俺と山本さんは友達、かな」
疑問をぶつけてみると、気になる返答があった。
「山本さん?」
疑問を声にすると、こうちゃんは しまった と口元を抑えた。祥彰はなにやらニコニコと笑っている。
こうちゃんは祥彰のことを、山本さんと呼んでいるってことだよね。思いがけず苗字を知ることができてなんとなく嬉しい反面、聞いたことのある響きに疑問が生まれていく。
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ぶっく。(プロフ) - ゆうかさん» 初めまして、コメントありがとうございます!そうやって楽しんでいただけるとすごく嬉しいです…!短編集にて時々書きますのでそちらからぜひお願いします!! (2020年6月11日 18時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 初めまして!!!最後まで楽しく読ませて頂きました!!この2人早く付き合えやッッと、ややkoちゃん目線気味で見てましたww素敵な作品をありがとうございました!2人のスピンオフ楽しみにしています! (2020年6月9日 17時) (レス) id: 41b5f36188 (このIDを非表示/違反報告)
ぶっく。(プロフ) - ななおかさん» ななおかさん、ありがとうございます。出会えて幸せ…そう言って頂けて本当に嬉しいです!これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2020年5月7日 21時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
ななおか(プロフ) - 完結おめでとうございます!素敵な作品、ぶっくさんに出会えて心が幸せです(*^^*)次回作とても楽しみにしています!これからも応援しています!! (2020年5月6日 21時) (レス) id: f07a41e0f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぶっく。(プロフ) - ゆみさん» ゆみさん、コメントありがとうございます!そこに気付いていただけて嬉しいです、これからもこのふたりはどんどん幸せになります!(?)大好きだなんてめちゃくちゃ嬉しいです…!新作も登録ありがとうございます、これからもよろしくお願いします! (2020年5月6日 20時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぶっく。 | 作成日時:2020年3月12日 8時