違和感が、ぶつかりあう ページ19
「あ、こうちゃん、聞きたいことあるんだけど」
山本さんはオフィスに来た俺を見るなり、手を止めて俺を呼んだ。大学で参加するクイズ大会を終えてオフィスに前まで通り顔を出すようになったらしいけど、会うのは久しぶりだ。
「……AAさんって人、知ってる?」
俺が山本さんの方に行くと、言いにくそうに口にしたのは、今日も話した友達の名前。山本さんの口からその名前が出るのはどうも不思議だった。それに今日、山本さんの話もしたよな、覚えてなさそうだったけど、あれ?
今までの違和感が俺の中でいろいろとぶつかりあっている。このまま考えを詰めれば、ピースがハマってなにかひとつの結論が導けそうな気さえする。
「友達ですけど……山本さん、知り合いなんですか?」
質問に答え、聞き返すと、彼は酷く傷ついたような顔をしていた。……いや、それはすこし違うか。なんて表現すればいいのかわからないほど、複雑な表情。
「そんなとこ。Aさんには僕の話しないでね」
でもその表情を見せたのは実はほんの一瞬で、すぐににこりと笑って手を動かし始めた。Aさんという呼び方にまた俺の中の違和感が増える。
「今日、山本さんの話しちゃいました」
まあでも、黙るようなことでもないと思って、俺がそう打ち明けると、ふたたび彼はこちらを向いた。驚いた顔はしていたが、怒られそうではない。ふたりの間になにかがあって、お互いの地雷だったりするわけではなさそうだ。すこし安心。
「え、どんな話したの?」
「この間ご飯食べた日、実はA含む数人と飲まないかって誘われてて、その日山本さんとご飯食べてたんだって話しました」
正直にあったことをそのまま答えると、さらに驚いた顔をした。何かを考えるように斜め上を見ながら質問を重ねてくる。
「なんか言ってた?」
それはどちらかと言えば焦っているようで、なにか申し訳ないことをしている気分になる。しかし、話してこうなるということは、話さなかったらもっと可哀想な羽目になっていた気もするので、仕方ないだろう。
「前にQuizKnockの話をしたとき、ちらっとなぞとき見せたことがあって楽しそうだったんで山本さんって言っちゃったんですけど、覚えてなさげでしたよ」
そう答えると、すこし安心したように 不躾にいろいろ聞いちゃってごめん と笑った。ほんとだよ、俺の中の違和感増えまくって仕事にならないよ!でも彼女にも彼にも深く聞けそうにないし、抱え込んであとで考え込もう。
優先事項以外が、頭を占拠する→←あなたが言うには、運命の相手
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ぶっく。(プロフ) - ゆうかさん» 初めまして、コメントありがとうございます!そうやって楽しんでいただけるとすごく嬉しいです…!短編集にて時々書きますのでそちらからぜひお願いします!! (2020年6月11日 18時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 初めまして!!!最後まで楽しく読ませて頂きました!!この2人早く付き合えやッッと、ややkoちゃん目線気味で見てましたww素敵な作品をありがとうございました!2人のスピンオフ楽しみにしています! (2020年6月9日 17時) (レス) id: 41b5f36188 (このIDを非表示/違反報告)
ぶっく。(プロフ) - ななおかさん» ななおかさん、ありがとうございます。出会えて幸せ…そう言って頂けて本当に嬉しいです!これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2020年5月7日 21時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
ななおか(プロフ) - 完結おめでとうございます!素敵な作品、ぶっくさんに出会えて心が幸せです(*^^*)次回作とても楽しみにしています!これからも応援しています!! (2020年5月6日 21時) (レス) id: f07a41e0f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぶっく。(プロフ) - ゆみさん» ゆみさん、コメントありがとうございます!そこに気付いていただけて嬉しいです、これからもこのふたりはどんどん幸せになります!(?)大好きだなんてめちゃくちゃ嬉しいです…!新作も登録ありがとうございます、これからもよろしくお願いします! (2020年5月6日 20時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぶっく。 | 作成日時:2020年3月12日 8時