想像よりもずっと狭い世界で ページ6
オフィスに向かっている途中、自動販売機の前に彼女がいた。こうして文にすると妙に味気がないが、俺にとってかなり衝撃的だった。
伊沢さんからQuizKnockの話をされて準備に焦っていた頃か、始動してからライターが増えるまでの大変な時期か、いつものように図書館で調べ物をしながら記事を書いていたときにたまたま出会った。
再会して打ち解けて、俺はAさんなんて素っ気ない呼び方を続けていたが彼女は俺のことを川上先輩と呼ぶようになった。
しばらく定期的に会っていたのだが、冬、今度はQuizKnockのYouTube始動にあたって手薄になった記事関係の仕事に忙しくなって、会うのが難しくなっていった。次第にあちらから連絡はこなくなったが、落ち着いた頃にこちらから連絡をとってみても、彼女からの返信はなく、呆れられてしまったのだと諦めざるを得なかった。
なんて開き直ったフリをしつつ、実際には傷ついていたのか、自販機前で声をかけるのに少し躊躇った。そのままスルーをしたら後悔することなんて目に見えているのでとりあえず何かきっかけを、とボタンを押した。まったく、非常識なことをしたもんだ。
まあ、話を聞いてみれば向かう先は同じでなにやらQuizKnockと関わりのあることをしているみたいだから、あそこでスルーしていても再会はできたのだが。
「QuizKnockに知り合いとかいるの?」
出会った頃は、1年生と3年生だったのにいつの間にか追いつかれてしまった。もう先輩なんて呼ぶ必要ないことを話しても、彼女は 先輩は先輩です と譲らなかった。久しぶりにこうやって話すのが楽しくて、もうすぐオフィスに着くのが嫌だった。彼女から貰ったミルクティーを飲んで、彼女の返答を聞く。
「ああ、一応ナイスガイとは共通の…友達がいて、まあ直接推薦があったわけではないんですけど、結果的にはその関係で今回わたしがオフィスに足を運ぶことになりました」
親指を立てながらナイスガイ、と発言する彼女に親近感のようなものを覚える。一言で言えば、世界の狭さを実感した。須貝さん、ありがとうございます。
オフィスまでの俺らの会話は、空白の時間を埋めるようでもあって、昨日の続きのようでもあった。矛盾したことを言っているのはわかるけれど、実際にそうだったのだから仕方がない。
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ぶっく。(プロフ) - カルボンさん» カルボンさん、コメントありがとうございます…!推しを書きたいように書いているのでそう言っていただけて嬉しいです!もっと楽しんでいただけるように頑張りたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。 (2020年3月13日 1時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
カルボン(プロフ) - 川上さん推しの私、楽しく読ませて頂いております!私自身が長いお話を書くのが得意ではないので、ただただ尊敬です。。これからも更新楽しみにしていますね! (2020年3月12日 22時) (レス) id: 6c016596a7 (このIDを非表示/違反報告)
ぶっく。(プロフ) - ぷち。さん» ぷち。さんはじめまして、コメントありがとうございます!普段ぷち。さんの作品を楽しませていただいているのでコメントいただけてびっくりしました、とても嬉しいです…!頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2020年3月12日 20時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
ぷち。(プロフ) - コメント失礼します…!川上さんを始め、皆さんかっこよくてドキドキが止まらないです。最高に好きです。これからも更新頑張ってください、応援してます!! (2020年3月12日 15時) (レス) id: f3200af55f (このIDを非表示/違反報告)
ぶっく。(プロフ) - ひなたさん» ひなたさん、はじめまして。すごく嬉しいコメントありがとうございます(;_;)両片想いの行く末を楽しみにして頂けると嬉しいです、これからもよろしくお願いいたします! (2020年3月4日 15時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぶっく。 | 作成日時:2020年2月16日 19時