他人から見た評価:恋人 ページ46
次に入ったメンズファッションのお店では、川上先輩に服を選んでほしいと言われ、真剣に悩んだ。
悩んだ末、薄手のジャケットとシンプルでかたちが可愛いベージュのTシャツを選んだ。彼は、店員さんに声を掛けていそいそと試着室に入っていった。
「彼氏さん似合いますね」
開かれたカーテンの先にいた彼を見て思ったことを口にする前に、近くで待っていた店員さんがそう発した。
「かれっ……似合いますよね」
彼氏であることを否定しようかと思ったけれど、なんだか寂しい気もするし、わたし達を見て恋人だと判断した店員さんにわざわざ言わなくてもいいだろうと、同意の声を上げる。
「っはは、ありがとうございます、買いますね」
わたしのギクシャク具合いにくすくす笑いながら店員さんの方を向いてそう告げた。気に入って貰えたならよかったけれど、値段とか見ずに似合いそうなの渡しちゃった。どうしようめちゃくちゃ高かったら……。
買って渡したいけれどさっき同じように言われて断ったしなあ。奢り合わない約束、それは前から貫き通してるんだ。
「ね、Aさん」
そのあと数件お店をまわって、特に何も買わないままお昼ご飯の時間となった。アウトレットモール内にあるカフェでご飯を食べることになり、お互い注文を済ませて一息つく。
「服買ったとき、……その、恋人だと間違われたの嫌やった?」
咄嗟に首を横に振りつつ、さっきのことを頭に浮かべる。思い出すだけでなぜかぽわんと嬉しくなるのに、嫌なわけない。他人から見て、そう見えているという事実は、なんだかとても嬉しくなるものだ。
「嫌なわけないです」
考えていることを考えているときのままの熱量でそのまま声にすると、川上先輩は目を見開いた。うわ、勢いで言いすぎた、川上先輩びっくりしてるし、引かれたらどうしよう。
そう思考を回しかけたとき、川上先輩はさっきと同じようにくすくす笑い始めた。
「そっか、ならよかった」
……え、それ、どういう意味?
嫌がっていたら申し訳ないし、嫌がってなくてとりあえずよかった、って意味?それとも、もっとわたしの期待に近い答えだったりするのかな、それはないか。
「……俺はちょっと嬉しかったから、嫌がられてたら嫌だなって」
尋常じゃないスピードで顔に熱が集まるのがわかる。それを冷まそうと、水を飲むためにコップを掴もうとする手に急に汗をかいた気もする。思考と視線をぐるぐると回す。
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ぶっく。(プロフ) - カルボンさん» カルボンさん、コメントありがとうございます…!推しを書きたいように書いているのでそう言っていただけて嬉しいです!もっと楽しんでいただけるように頑張りたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。 (2020年3月13日 1時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
カルボン(プロフ) - 川上さん推しの私、楽しく読ませて頂いております!私自身が長いお話を書くのが得意ではないので、ただただ尊敬です。。これからも更新楽しみにしていますね! (2020年3月12日 22時) (レス) id: 6c016596a7 (このIDを非表示/違反報告)
ぶっく。(プロフ) - ぷち。さん» ぷち。さんはじめまして、コメントありがとうございます!普段ぷち。さんの作品を楽しませていただいているのでコメントいただけてびっくりしました、とても嬉しいです…!頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2020年3月12日 20時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
ぷち。(プロフ) - コメント失礼します…!川上さんを始め、皆さんかっこよくてドキドキが止まらないです。最高に好きです。これからも更新頑張ってください、応援してます!! (2020年3月12日 15時) (レス) id: f3200af55f (このIDを非表示/違反報告)
ぶっく。(プロフ) - ひなたさん» ひなたさん、はじめまして。すごく嬉しいコメントありがとうございます(;_;)両片想いの行く末を楽しみにして頂けると嬉しいです、これからもよろしくお願いいたします! (2020年3月4日 15時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぶっく。 | 作成日時:2020年2月16日 19時