【QlK】さいかいからあい【kwkm】〈完結〉

ショッピングデート、幸先良し ページ45

そして川上先輩の違和感を感じるほどの甘さはこれじゃ終わらない。


今日の“デート”はわたしの番。それはもうめちゃくちゃ悩んだ。前に彼と行って楽しかった古本屋もいいし、あえて行ったことのないテーマパークにしてもいい。

デート前提で行先を選んだことなんて今まで無かったので緊張は半端なかった。いろいろ調べた挙句、やっぱり変に気負わずに、行きたいところに行こうと決めた。そもそも、それが原点だ。

「今日は買いたいもの全部買いますから！川上先輩も行きたいところあったら言ってくださいね」

わたしが選んだのはショッピングだった。彼とじっくり買い物をするというのは、意外にもあまりしてきていない。しっかりと目的を持った買い物ならあったけれど、こういうのは初めてで、正直、わたし達に向いてるかなんてわからない。

早速アウトレットモールへと移動した。わたしは浮かれた気持ちを引きずりながらレディースファッションのお店に入った。

「これとこれ、どっちの方が好みですか」

関係の進展がない以上、むりやりにでもきっかけをつくるしかなかった。……典型的なされたら困る質問で、めんどくさい女の発言だと思うけど、それでも彼の好みを聞きたかった。

「んー、……俺の好みはこっちだけど、Aさんはこっちも似合う、袖がぴらぴらしてて可愛い」

ため息をつかれるかと思ってびくびくしてたけれど、想定よりずっと収穫が多かった。川上先輩の好みはこっちか、……でも袖が可愛らしいこっちもわたしに似合うだろうという評価。そしてこの袖をぴらぴらと表現。

「っふふ、じゃあ買ってきますね」

とりあえず嬉しかったのでどちらも購入を決意した。レジに持っていこうと呼び止められる。

「……いや、それ俺買うからさ、次着てきてよ」

次のデートで、と重ねる彼に胸が高鳴る。

「奢り合いはしない約束ですよ」

とりあえず、むりやりニコニコと余裕そうに笑いながら彼の申し出を断って、ふたたびレジに向かう。

……顔に出てなかったかな。さっきの発言を頭の中で反芻していく。すると、自然と口角が持ち上がる、顔に熱が集まる。こんな顔、川上先輩に見せられない。

だってあんなの、期待するに決まってる。相手がわたしじゃなくても、川上先輩のことを好きじゃない人でも、あんなことを言われたら……そこまで考えて、わたし以外の人に川上先輩がああいうことを言う姿を思い浮かべてしまって辛くなる。

わたしにだけだったらいいのに。

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