【QlK】さいかいからあい【kwkm】〈完結〉

ふたたびはじまる ページ42

川上先輩と行きたいところがあるというのは、わたしたちらしい誘い方のためにパッと言ってしまったことだけど、嘘ではなかった。川上先輩と行きたいところなんて、わざわざ探す必要がないくらいたくさんあるのだ。


そもそも、大前提に、これはわたしの主観ではなく、わたしたちはすごく仲が良かった。出会ってから疎遠になるまで交互に行きたいところに連れて行き合うくらいに。だから今までいろいろな場所に一緒に行った。

彼のおすすめの大きな古本屋、わたしが行きたかったおしゃれなカフェ、それに美術館や博物館、水族館なんかも行った。回数を重ねる毎に選択肢が狭まってハードルも上がり窮屈になっていきそうなものだけど、全くそんなことは無かった。

行きたいと感じたところができたら連絡をして予定を調節して、会う。奢り合いはなしと決めたし、本当に楽しいだけの関係。


前のわたしはそれですっかり満足して、次の約束を楽しみに生きていたもんだけど、……まあ、自分の気持ちに気付かされてしまった以上、欲なんていくらでもわいてくる。


「あ、川上先輩おはようございます！待ちました？」


約束の場所でスマホをいじる川上先輩を見つけて声をかける。彼と会うのは、なんだかんだ元彼との和解以来で1ヶ月ぶりだった。オフィスに訪れたときはいなかったし、お互いテストで忙しくて夏休みに入るまで予定が合わなかった。

「今日はどこ行くの？」
「んー、なんとなくゲーセン行きたくて」

久しぶりにこうやって遊ぶためにわざわざ2人で会ったから、思い出の場所とか素敵な場所を選ぶべきかと思った。でも、ゲーセンではしゃぐ川上先輩を久しぶりに見たくなったのだから仕方がない。きっとそれくらいが気負わなくて済む。

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