踏みにじりたい再会も ページ38
「近くいるから来ていいよ」
須貝さんからの電話を待ち合わせ場所の近くで受ける。来てしまった、この日が、このときが。あの人と会うのはいつぶりだろう。2ヶ月くらい前に偶然を装って話しかけてきたのを無視したのは覚えているけど、それっきりかな。
「あれ、Aさん偶然だね」
わたしがカフェに入る覚悟を決めて、歩き出すと声を掛けられた。ひゅっ、と息が止まるかと思ったけど、声のした方を見るとこうちゃんだった。
「こうちゃんか、びっくりした」
こうちゃんとは、なにかの飲み会で知り合って、なんだかんだちょっと仲良かった時期がある。須貝さんにQuizKnockの動画を見てくれと言われたときも、この間QuizKnockのオフィスで会ったときも、やっぱり世間は狭いんだなあと思った。
「何してるの?」
「ちょっと待ち合わせしてて」
「あ、川上さんと?」
「んー、そんなとこかな」
話しながらふと店内の方を見ると、元彼の顔があった。……目が、合った。呼び出しておいて他の人と話してること怒ってるのかな、席に着いたとき怒鳴り散らされたらどうしよう。不安と恐怖がぐわっと心を埋め尽くす。
「Aさん、顔色悪いよ」
それが顔に出ていたらしく、こうちゃんに覗き込まれる。だめ、近付かないで。近付いたらこうちゃんも巻き込んじゃう。
「……大丈夫!そろそろ行くね、またね」
むりやり会話を切り上げて、こうちゃんのバイバイを薄く聞いて、カフェへ行く。大丈夫、近くに川上先輩と須貝さんがいる、不安がる必要はない。一昨日、須貝さんに励ましてもらったんだから成功して先を見ないといけないんだ。
「久しぶり、遅れてごめんなさい」
「……さっきの、誰?彼氏?」
想像通りの変わらない彼を前に、何があるか分からないからと、須貝さんに渡されたボイスレコーダーがついていることを確認する。
「大学の友達です」
「そっか、ならいいや……なんで呼んだの?」
何を話すかなんて決めておいたのに、いざ彼を前にすると、何かがつっかえて話せない。この間夜中に電話先から聞こえたあの声が、目の前から聞こえるのが、どうにも怖い。……大丈夫、これくらい覚悟していた。目を瞑って、渇いた口を開く。
わたしのことを好きじゃない彼と→←お互いにお互いしか見ていない
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ぶっく。(プロフ) - カルボンさん» カルボンさん、コメントありがとうございます…!推しを書きたいように書いているのでそう言っていただけて嬉しいです!もっと楽しんでいただけるように頑張りたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。 (2020年3月13日 1時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
カルボン(プロフ) - 川上さん推しの私、楽しく読ませて頂いております!私自身が長いお話を書くのが得意ではないので、ただただ尊敬です。。これからも更新楽しみにしていますね! (2020年3月12日 22時) (レス) id: 6c016596a7 (このIDを非表示/違反報告)
ぶっく。(プロフ) - ぷち。さん» ぷち。さんはじめまして、コメントありがとうございます!普段ぷち。さんの作品を楽しませていただいているのでコメントいただけてびっくりしました、とても嬉しいです…!頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2020年3月12日 20時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
ぷち。(プロフ) - コメント失礼します…!川上さんを始め、皆さんかっこよくてドキドキが止まらないです。最高に好きです。これからも更新頑張ってください、応援してます!! (2020年3月12日 15時) (レス) id: f3200af55f (このIDを非表示/違反報告)
ぶっく。(プロフ) - ひなたさん» ひなたさん、はじめまして。すごく嬉しいコメントありがとうございます(;_;)両片想いの行く末を楽しみにして頂けると嬉しいです、これからもよろしくお願いいたします! (2020年3月4日 15時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぶっく。 | 作成日時:2020年2月16日 19時