【QlK】さいかいからあい【kwkm】〈完結〉

灯台もと暗し ページ34

「Aさんはさ、例えば俺らが元彼に接触して止めたりするのは嫌なの？」

俺は元彼に文句のひとつやふたつ言って、何をしたいのか確認した上で止めさせたいと思っているけれど、そんなの簡単にできるのならきっと須貝さんがもうやっている。Aさんが大丈夫と笑うから踏み込めなかったと須貝さんは言っていたけど、どうなんだろうか。

「……嫌ではないんですけど、できないと思います」

須貝さんも彼女の言葉に頷いた。相手は手強いらしく、自分を正義だと信じ込んでいるため、説得は難しいという。確かに、この間の彼女の話や今日の須貝さんの話からそれはうかがえたけど、そんな強敵にどう立ち向かえばいいのか皆目見当がつかなかった。

「少し言い返せば一旦しばらくは収まるんだけどね、それじゃ根本的な解決にはならないし」

実は、昨日の夜1人で解決策を考えまくったのだが、元彼の像がいまいち掴めていないこともあってかたちにならずに終わった。それでもいくつか考えは浮かんでいたのに、それを駆使しても太刀打ちできる気がしない。

諦めるつもりなんてさらさらないけど、彼女のためにいくら考えても、感情論だけじゃどうにもならないんだと告げられている気がしてすこし苦しい。

「わたしから1回会ってみるのはどうでしょう」

それぞれが考え込んで生まれた沈黙を破ったのはAさん。あまりにも無謀で危ないように思えたけど、元彼はAさんのことを意外にしっかり好きなようだから、効くのかもしれない。

盲点だった。彼女を守ろうという気持ちが強すぎて、なるべく彼女には何もさせない方向で考えていた。

「……その、怖いので人前で、というか近くにいてくださったら嬉しいんですけど、だめですか」

彼女の負担が大きすぎる気もする。しかし、カフェだとか他人も多くいる場所で、俺らが近くでいつでも助けられる状況にしておけば、叶わない話じゃない。

「俺、それ結構いいと思うな」

須貝さんの言葉に俺も頷く。方針は決まったので、計画を詰めれば、これは成功するかもしれない。

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