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泣いても泣いても、泣いても ページ24

『いいけど、電話する?』
『それとも』
『会いに行った方がいい?』

いつもの川上先輩よりもだいぶはやく既読がついて、すぐに返信が来た。わたしのことをどこかで見てたんじゃないかと思うくらいわたしの心にすっと届いてきて、迷惑なのはわかっていても、来てください とねだってしまった。

『すぐ行くから。家行っていいの?』
『お願いします』

川上先輩がわたしの家に来るのは、初めてじゃなかった。どれもこれも、暗い夜道を送ってくれたり、忘れ物を届けに来てくれたりで、わたしの家に入ることが目的で来ていなかった。中に入れたことも何回かあるけれど、滞在時間は短かった。

とりあえずテーブルの上だけざっと片付けて、顔だけ洗って、あとはぼーっとしていた。着飾る気にもなれなかったし、とにかく心が落ち着かなかった。何かを考え始めると頭が痛くなりそうで、何も考えないように、部屋の一点を見つめる努力をしていた。

軽快なチャイムがなって、扉を開けに行くと、すこし息を切らせた様子の川上先輩がいた。扉の先にいるのが川上先輩だってことくらいわかっていたのに、本当に来てくれたんだ と安心しきってしまってまた涙が零れた。

「ちょ、ええ、とりあえず中入ろ」

驚きながらも優しく両手で両肩を掴んでわたしを後ろからそっと支えて、部屋まで連れて行ってくれた。急に泣くなんて引かれるかな、とかそういうの考える隙もなくて、部屋に着いたら崩れ落ちてさらに泣いてしまう。自分の泣き声だけが部屋に響くのに、目の前には川上先輩がいて、変な感じだ。

「何あったんか話せる?」

川上先輩の言葉にハッとなり、気付けばわたしは彼に抱き締められていた。背中に手が回っているのにも、温かい感触にも気が付かないくらい夢中で泣いていたことを後悔しつつ、彼の温もりに身を任せて、ぽつりぽつりと話し始めた。目元が熱いし、鼻も痛いし、頭もぐわんとする、どれだけ泣いていたんだ、わたしは。

縮む不安、膨らむ不安→←自分の機嫌すらとれない大人は



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設定タグ:QuizKnock , QK , 川上拓朗   
作品ジャンル:恋愛
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ぶっく。(プロフ) - カルボンさん» カルボンさん、コメントありがとうございます…!推しを書きたいように書いているのでそう言っていただけて嬉しいです!もっと楽しんでいただけるように頑張りたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。 (2020年3月13日 1時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
カルボン(プロフ) - 川上さん推しの私、楽しく読ませて頂いております!私自身が長いお話を書くのが得意ではないので、ただただ尊敬です。。これからも更新楽しみにしていますね! (2020年3月12日 22時) (レス) id: 6c016596a7 (このIDを非表示/違反報告)
ぶっく。(プロフ) - ぷち。さん» ぷち。さんはじめまして、コメントありがとうございます!普段ぷち。さんの作品を楽しませていただいているのでコメントいただけてびっくりしました、とても嬉しいです…!頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2020年3月12日 20時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
ぷち。(プロフ) - コメント失礼します…!川上さんを始め、皆さんかっこよくてドキドキが止まらないです。最高に好きです。これからも更新頑張ってください、応援してます!! (2020年3月12日 15時) (レス) id: f3200af55f (このIDを非表示/違反報告)
ぶっく。(プロフ) - ひなたさん» ひなたさん、はじめまして。すごく嬉しいコメントありがとうございます(;_;)両片想いの行く末を楽しみにして頂けると嬉しいです、これからもよろしくお願いいたします! (2020年3月4日 15時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぶっく。 | 作成日時:2020年2月16日 19時

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