【QlK】さいかいからあい【kwkm】〈完結〉

増える疑問と気になるふたり ページ21

「川上先輩！もうお帰りですか？」

対して、彼女の顔はパッと明るくなった。それが俺の聞きたかったことへのわかりやすい答えだった。…そうか、そんなに好きか。川上の鋭い視線は、こんなにわかりやすいAさんをスルーして奥にいる俺に向いている。

「…帰ろ。用意してて」

俺のことを睨んでいても、Aさんの声は耳に届いているみたいでそう言いながら元いた部屋へ戻っていった。お互いわかりやすすぎるだろ。

「ね、LINE交換しよ、よければまた話したい」

またタメ口になってしまい、口を抑えた。彼女は 別に気にしなくていいですよ と笑いながらスマホを取り出してLINEを交換してくれた。これで連絡が取りやすくなるし、何より川上のことを話せる。口を出すつもりはないけれど、なんというか、協力したくなる。

「それでは、失礼します。本当に楽しかったです、ありがとうございました。またよろしくお願いします」

そう頭を下げて、彼女は川上に連れられるようにオフィスを出ていった。この調子じゃ、本当に俺が協力なんてしないうちに結ばれそうだな。そうなったらいじり倒してやろう。そうなる日が楽しみだ。

「伊沢、あんまり川上のこといじめないでよ」
「わーってます」

ふくらさんに声をかけられた。ふくらさんだって2人のこと気にしてたくせによく言うよ。川上先輩なんて呼ばれて嫌そうにするどころか愛おしそうに見つめる川上を不思議に思わないわけない。あの場にいたみんなが、ふたりの関係、そしてAさんがどんな女性なのか気になっていたはずだ。

「…ふくらさんは須貝さんとAさんの繋がり知ってます？」

首を横に振りながら確かに、とつぶやくふくらさん。彼女はもちろん須貝さんもなにも言ってなかった。今度聞いてみることにしよう。

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