【QlK】さいかいからあい【kwkm】〈完結〉

元彼のはなし ページ11

告白は彼からで、それも何回か断られていた。でも、自分をアピールするのが得意だから、好きになってもらえるように色々と努力をしていた、そのときに俺は相談を受けて、彼女と知り合った。

当時彼女にこっそり聞いたら、彼のことは嫌いじゃないけど、恋人と聞くとチラついてしまう人がいて、どうにも彼との関係に踏み出せない、と言っていた。

相談を受けていたときから少し違和感があった。彼女のことが好きだから付き合いたい、というよりも、俺を見てくれないとか許せないから付き合わないと、って感じで。それでも俺は好きな気持ちに疑いはないと思ったし、彼女も少しずつ彼に歩み寄っているようだったのできちんと相談に乗って、付き合うまで見届けた。

最初の方はよかったけれど、自分が完璧だと思い込んでいる彼は、自分の彼女にも完璧であってほしいらしくそれを求め始めた。別にそれ自体は悪いことじゃない。なんなら、彼と研究関係で付き合う俺からしたら厳格であってほしいくらいだ。彼氏彼女の付き合いとなると別だけど。

付き合って2ヶ月したあたりから、苦手な野菜を食べるときにギュッと目を瞑ったりするのにも、閉めたつもりのカーテンが少し開いていたりするのにも、ケチを付け始めたらしい。

彼にとっての完璧とは、あくまでも、彼にとっての、完璧だったのだ。完璧を追求するのは勝手だけれど、それを強要するのはよくない。それで苦しめられているのなら別れるべきだと、俺はAちゃんに言った。

たまたま機嫌が悪い日に言われるわけでもなく、毎日のようにそれが続き、積もっていって彼女はやっぱり別れを決意した。

2人きりで別れを切り出したら、彼がどれだけ怒るかわからないし、Aちゃんの方から言う、ということだけでも逆上しそうだったので、はじめは彼が嫌うことをたくさんして、相手から別れを切り出してもらおうとしていた。

しかし、やっぱり、彼の好きの気持ちは本物で。

「そんなに荒むほど君の重荷になってると思わなかった、ごめんね」

と、泣きつかれてしまったらしい。この言葉を信じて、もう一度やり直す覚悟を決めてもよかったが、そんなのどれだけ続くのかわからなくて、これ以上辛い思いをしたいとは思えないから、と結局、彼女から別れを切り出した。

彼が元になった所以→←幸せに向いていると信じて

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