幼なじみが可愛すぎる件について！２＿skab

少年Sの可愛い人2 ページ31

「や、たしかに文化祭では恋に落ちたかと思ったよ。
マイトちゃんそっくりだったし。
でもあれはマイトちゃんとか嫁と同じ萌えってやつだったし、手なんて繋いだ記憶も無いし。
まぁもしかしたら引っ張ってどっかに連れてかれたとか、買い物中ならあったかもしれないけど。
…ホワイトデーだって、阿部ちゃんに喜んでもらえるものが選びたいからラウール助っ人に呼んだだけだし。」


そこまで一気に言うと、阿部ちゃんはポカンとした顔。
涙が目の縁に溜まってるのが、綺麗なんだけど、可哀相で。
好きな子を笑顔にするって、難しい。


「うそ。」
「ほんと。
それに俺、三次元で本当に好きな子見つけちゃってるし。」
「え？」


ああ！
また眉間にしわ！
幼なじみを本気で心配してくれてる。
阿部ちゃんって昔からそういう優しさがある。

もうハッキリしないことで不安にさせちゃうなら、当たって砕けよう。
砕けたくは、ないけど…有耶無耶にして悲しませるよりは、多分マシ。



「俺が三次元で一番可愛いと思ってて、大切にしたくて…他の誰かじゃなくて俺が笑顔にしたいって本気で思ってるの、阿部ちゃんだよ。」



「おれ…？」
「ま、これはかっこつけたバージョン。
ほんとは今、俺のこと本気で心配して、泣きそうになるくらい一生懸命になってくれてる阿部ちゃんのことも、綺麗だなって思っちゃってるし。」


笑顔にしたいなんて言っときながら、ずるいよなぁ。
なんて自分でも苦笑いしちゃうけど。
阿部ちゃんの目の下を指でそっと撫でる。


「涙も笑顔も、俺だけのものにしちゃいたい。」
「でも、俺…。」
「俺は阿部ちゃんが好き。」


戸惑う阿部ちゃんを遮るように、言い切る。


「俺で、いいの…？」
「その聞き方は、佐久間さん期待しちゃうなぁ。」
「…して、いい。」
「期待ついでに、阿部ちゃんから気持ち聞きたいって言ったら？」


ちょっと、意地悪？
でも阿部ちゃんからも、聞きたいじゃん。



「俺も佐久間が、好き。」



「最高ピーマン！」
「うわ！」


ぎゅううっと抱きしめる。


俺の幼なじみ…、兼恋人は、この世の三次元で一番可愛くて、一番愛しい、阿部ちゃんっていう人です。

おまけ→←少年Sの可愛い人1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す