あの日から。 ページ1
2023年12月
早くも今年が終わりそうな夜、仕事がいつにも増して忙しくクタクタになって帰って来た。
向かう先は迷わずベッド。
変なことは考えずに、ただ目を閉じて
流れに身を任せれば…きっと気が付けば朝なのだろう。
眠ろうとしなくても勝手に遠のく意識がやけに気持ち良かった。
このままずっと夢の中で過ごせたらどれだけ幸せだろうか…
目を開ける感覚はなかったが、周りは見渡せる状態だった。
どこか見知らぬ場所に1人立ち尽くす私のこの状況からして、夢である事は確かだ。
このまま目覚めなければ、永遠に幸せに生きられるのになぁ…なんて馬鹿げた思考を繰り広げながら真っ白な空間を歩いていると、偶然現れたドアに吸い込まれた。
季節の分からない街。
青々と生い茂る街路樹が風に揺れて小さく音を立てた。
辺りを見渡しながら歩くのはこんなにも楽しかったっけな。
いつの間にか日々の疲れにどっぷり浸かっていた心は軽く生き生きとしているようだった。
？「…あの…」
「あ、はい…」
何やらオドオドとしている男性が向かいから歩いて来て、私に話しかけた。
夢で見る人って、いつも顔がぼやけて見えていなかったり
既に知っている人が登場したりと何となく分かるのだが…
今目の前に立っている、私を見つめる男性は顔がはっきりと見えた。
そして、会った事もどこかで見た事もない男性だ。
風になびく黒髪に、揺れる前髪から少しだけ見える優しい瞳、高く筋の通った鼻が印象的だった。
？「僕は… …です。」
「すみません、もう一度お名前よろしいですか？」
彼の名前が聞き取れない。あともう少しのところでどこかから鐘が聞こえた。
彼は腕時計の画面を見ると目を見開き、向かい側の道を走っていく。
かなり急いでいるように見えたその姿を目で追うと、なんとなく心が次第に軽くなった。
私も頑張ろう。目の前に続く一本の道に沿うように走った。
明日からも、私が私らしく生きていくために。
「…夢か、」
目が覚めるといつもの朝だったが
心は少しだけ軽く、青い空が綺麗だと思える余裕があった事に感動した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 479人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
pkpk(プロフ) - ぱるむむさん» ぱるむむさん、こんにちは☺️ 嬉しいお言葉ありがとうございます✨ 緩やかな更新ではありますが、最後までお楽しみいただければと思います💕🙇 (1月16日 15時) (
レス) id: 2aba72ea6d (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむむ(プロフ) - こんにちは(^^)このお話とても面白くて大好きです！これからも更新楽しみにしてます♡ (1月16日 14時) (レス) @page10 id: 0ab191d9fd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：pkpk
| 作成日時：2023年12月31日 22時
