page.11 ページ11
.
「おはよ」
翌日仕事で楽屋に入ると、すでに数人が揃っていた。その中に伊野尾の姿もあって、昨日の罪悪感からか思わず目を逸らしてしまった。
「薮、おはよ」
「あ、おはよう」
それでも声をかけてきた伊野尾に、平常心を装って作り笑顔で返す。
「昨日さ、」
「お疲れー」
伊野尾が言いかけた途中、開いたドアから入ってきたのは雄也だった。向かい合う俺たちを見て、一瞬で笑顔が消える。
「伊野尾くん、隣行こう」
「あ、うん」
直ぐに伊野尾の腕を掴み、隣に用意されたもう一つの楽屋へ行ってしまった。
それから打ち合わせが始まっても、スタジオに移動しても、雄也はガードマンのように伊野尾にピッタリとくっ付いていた。俺の考えなしの行動で二人の仲を壊してしまったかと思ったけれど、そうではなかったようで安堵した。
伊野尾が辛い思いをするくらいなら、話せない方がよっぽどマシだ。
「薮！待って！」
二人よりも先に仕事を終え楽屋を後にした俺を、伊野尾が追いかけてくる。
「伊野尾…、雄也は？」
「今一人でインタビュー受けてる」
「そっか。どうした？」
「あの…、昨日たかきに会った？」
「えっ…。あぁ、事務所でちょっと。何で？」
伊野尾の質問にドキッと心臓が跳ねた。どうにか普段通りのトーンで返す。
「薮が帰ってからさ、たかきが仕事入っちゃって今日の仕事の後ご飯行くことになってたんだけど、その日急に会いに来てくれたから。薮も仕事入ってたみたいだし」
「悪い…つい色々余計なこと言っちまった。何で伊野尾と会うこと知ってるのかも聞かれて、どうにかごまかしたつもりだけど」
「薮の演技力じゃごまかすの無理じゃん」
「うるせぇな。…もしかして雄也と喧嘩になった？」
「ううん。逆にアイツ来るなり急に、」
そこまで言いかけて口を噤み、ポッと頬を染めた。
「何だよ。…あぁ、逆に燃えちゃったわけか」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 232人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
木曜は雨(プロフ) - うさこさん» さ、から始まる言葉を書こうとしたんだろうなとは思いましたwwわざわざありがとうございます！ (2021年4月1日 20時) (
レス) id: 31e16ece45 (このIDを非表示/違反報告)
木曜は雨(プロフ) - komikkuさん» 薮さんに喝を入れられた後の�睫擇気鵑旅堝阿盍�に妄想済みなんですけどねw最後までお付き合いいただきありがとうございました(^-^) (2021年4月1日 20時) (レス) id: 31e16ece45 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - 木曜は、雨さんこんばんわ。すみません、この間のコメントの最後に素敵な桜と訳のわからない事書いてて。素敵な作品と書きたかったのですが朝の4時に目覚めて書いてたのでごめんなさい。いつもありがとうございます。 (2021年3月31日 22時) (レス) id: 1d86e2ca18 (このIDを非表示/違反報告)
komikku(プロフ) - おはようございます。今回もとっても面白かったです☆あとはたかいのの盛り上がった過程も読ませて頂ければうれしいです☆またの更新待ってます〜☆ (2021年3月31日 8時) (レス) id: 93c627b186 (このIDを非表示/違反報告)
木曜は雨(プロフ) - うさこさん» 今回は短めでしたね。書き出した頃はtkin短編に入れようかと思っていたのですが、予定より大分長くなってしまいました 笑。実際もラブラブでいてくれることを願ってます(ノ_＜) (2021年3月30日 9時) (レス) id: 31e16ece45 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：木曜は雨
| 作成日時：2021年3月24日 8時
