いざ、参戦！�� ページ35
武器を大事そうに抱えながら曲尺は語り出す。
横山｢台湾からこの地に来た私ですが、実は私はこの日本で生まれたのです｣
大津｢それは想像ついていた。曲尺は紛れもなく日本の工具だからな｣
横山｢この日本では、私はある工具と幼き日々を共にしておりました。
生まれも素材も全く違いましたが、ただ唯一｢長さを測る｣という共通点があった縁で出会ったその子は私と生活を共にしていくうちにいつしか私の後をついて回り、私を兄と呼ぶようになりました。
私もそんな彼をいつしか可愛らしく思うようになり、家族のようにかけがえのない存在となっていったのです｣
向井｢言うなれば、義兄弟ということだな｣
横山｢そういうことになりますね｣
石橋｢巻尺連れて来たよー
…ってあれ？誰あの人？｣
水川｢！｣
曲尺が話している最中に紙やすりが巻尺を連れて戻ってきた。
いつの間にか現れた曲尺に首を傾げる紙やすりに対して、巻尺は目を見開いた。
横山｢本当に楽しかった。どんな時も私を頼ってくれる存在と慎ましやかながらも穏やかな生活。
私も弟も、ずっとこの生活が続くと信じていました。……しかし、運命というモノは非常に残酷でした｣
淡路｢何があったんだ？｣
横山｢…ある日、私達の前に謎の男達が現れ、私を無理矢理彼から引き離し見知らぬ異国の土地へ連れ去ったのです。
私と弟が、生まれも素材も違う故共に過ごすことは許されない。…ただそれだけの理由で、私と弟の繋いだ手を引き裂いた｣
大津｢…ひどい｣
横山｢何とか男達の元を逃げ出し、台湾に辿り着いた私ですが、この日本に渡るまでが苦労の連続でした。大シケにも遭い、クジラにも襲われました。
しかし、全ては日本に残した大切な弟に会うため。いくつもの災難を経て、私はやっと日本に辿り着いたのです｣
向井｢そうだったのか…｣
大津｢…弟にはまだ会えていないのか？｣
横山｢はい、日本に帰れたのは良かったものの、あれから長い歳月が経っているので今弟がどこでどうしているのか分からないのです。
…あの時、私を呼び泣き叫ぶ弟の姿が今も時々脳裏に蘇ってきます。その度に私は胸が張り裂けそうなのです。
本当に、可哀想なことをしてしました…｣
ーｽﾞｯ…
水川｢……｣
石橋｢ど、どうしたの？｣
大津｢ん？
あぁ、やすり達戻ってたのか｣
巻尺が発した足音にプラスドライバー達が振り返った。
どうやら巻尺達がずっといたことに気付いてなかった様子。
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作者名：コッティ | 作成日時：2020年9月26日 22時
