花咲く街角�� ページ30
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雑貨屋。
『すごい綺麗…！』
大林｢着物に合いそうなモンいっぱいやな｣
｢あーちゃん、ぬいぐるみあるで！｣
｢くましゃーん｣
子どもらの要望でお菓子を買って、お互いの実家へのお土産に日本酒を買ったらちりめん生地や和風の小物を取り扱うお店に足を運んだ。
花街を連想させるような店内は雰囲気は息を飲む程綺麗やった。
｢このかたなほしい！｣
大林｢おぉ、炭治郎の日輪刀みたいやな｣
『ほんま『鬼滅の刃』好きね』
『鬼滅の刃』ってほんま人気がすごい。
幼稚園くらいの子達までハマってコスプレするくらいやし。
現に龍飛の同級生もほとんど子らが『鬼滅の刃』大好きって言うてるし。
｢ママみてぇ、ちょうちょー｣
『あら、しのぶとカナヲ達の髪飾りみたいやん』
店員｢今年は『鬼滅の刃』がすごいブームだったので、キャラクターの持ち物と似た商品を沢山揃えています｣
大林｢なるほど。そこにあった半纏の柄も通りで見覚えあると思ったわ｣
店員｢若いお客さんも増えまして、こちらとしては本当にありがたいですよ｣
『漫画効果はすごいですね』
街も物語の舞台である大正時代を思わせる風景やしね。
すぐ近くにある大正浪漫通りも無惨と闘った背景に似てるし。
『(私も色々見てみよっと)』
子どもらの様子を見ながらヘアアクセのコーナーに目を移す。
着物や浴衣に合いそうな簪に漆塗りの櫛。
使う機会は少ないやろうけど、デザインが文句なしで可愛いから鑑賞のために持ってても良いかも。
『(…あ、あれ！)』
綺麗に並べられた沢山のヘアアクセの中で、ある一つの簪が私の目を止めた。
『これ、珠世さんの簪…』
実は私も息子と同じく鬼滅ファン。
中でも鬼でありながら人間を食べない鬼・珠世さんが一番の推しキャラでその珠世さんの簪に色も形も全部がそっくりな簪を見つけて内心すごくテンションが上がった。
『(欲しいなぁ…)』
好きなキャラクターと同じモノは誰だって欲しくなる。
でも大の大人が、しかも子を持つ親がこんな子ども染みたこと出来る訳がない。
『(…見つけただけでも良かった)』
簪への欲を飲み込んで手に取っていた簪を置こうとしたら、その手はスッとどこからか伸びてきた手によって制止された。
『あ、健二』
大林｢…これ、珠世の簪に似てるな｣
『そ、そう？』
大林｢…欲しいん？｣
『え？』
大林｢欲しいんちゃうん？｣
『あ、う…』
真顔で聞いてくる健二に思わず声が詰まった。
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作者名：コッティ | 作成日時：2020年9月26日 22時
