君のトリコ�� ページ7
この日のAは何故か朝から機嫌が悪い。
いつもと変わらず周りには普通に接しているから分かりにくいけど、長年一緒の俺にはその振る舞いの裏の感情がちょいちょい仕草に出てたから分かる。
大林さんとケンカしたんかな？
それとも月のモノによるイライラ？
深いプライベートのことはいくら幼なじみでもそこまで詳しくないので原因は分からん。
まぁさすがに仕事には影響せんかな？
スイッチの切り替えが効く奴やし。
大林｢Aー｣
横山｢あ、大林さん。おはようございます｣
漫才劇場の楽屋で待機していると、今日はNGKのみの出演のはずの大林さんが訪ねて来た。
『……』
大林｢そんな怒らんといてや。何があったん？｣
『……』
大林｢ちゃんと言わな分からへんって。話聞くから今日一緒に帰ろな？｣
『……』
大林｢Aー…｣
折角ダーリンが来てくれたのに一貫してガン無視するA。
この様子やと原因は大林さんにあるみたいやな。
でも当の大林さんはAの機嫌を損ねた理由が自分であることに気付いてない。
…これはAが言わん限り終わりが見えんな。
木崎・稲田｢Aちゃーん！｣
櫻井｢おはよう｣
空｢だーいこーふんでーす！｣
梅村｢意味分からんって｣
大林さんとAのやり取りなんてお構いなしにやって来た28期の同期達。
『あら、皆どないしたん？』
さっきとは打って変わってAはコロッといつも通り木崎らに返事をする。
木崎｢Aちゃん、今年も素敵なバレンタインをありがとう｣
櫻井｢毎年ありがとう｣
稲田｢Aちゃんに最高のホワイトデーを｣
空｢俺も去年より気合い入れたねん！｣
梅村｢Happy Whiteday！｣
美容グッズやらお菓子やら入浴剤やら、女性が喜びそうなモノを満面の笑みで渡す木崎らにAも嬉しそうに笑う。
『ありがとう！皆が喜んでくれて私も嬉しいよ！』
木崎｢愛するAちゃんのためさ｣
櫻井｢キモ。
そういやAちゃん、さっき大林さんとなんかあったん？｣
あ、二人の雰囲気がおかしいことには気付いてたんや。
やのにAに話し掛けたん？こいつら。
『…何もないよ。心配してくれてありがとう』
空｢何かあったらちゃんと俺らに言うてな？｣
『ありがとう。皆はこんな私といつも一緒におってくれるから大好きよ』
横山｢……｣
また無自覚にそんなんを言う。
それにこいつらのそういう気遣いはお前の気を引くためのこいつらの罠やからな。
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作者名：コッティ | 作成日時：2019年3月9日 23時
