主婦兼ママ芸人の爆笑奮闘記~第6章~ (ページ20)

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劇団コケコッコー『雨降らしの夜』③ ページ20

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伊丹｢美咲？美咲だよな？｣

『え？』

伊丹｢美咲っ、ずっと探したんだぞ！｣

『…誰？あなた誰なの？』

伊丹｢俺が分からないのか？俺だよ、圭介だよ！｣

婚約者役の伊丹くん。
野村くんから聞いた話によると脚本書き直し後、信作とヨルが結ばれる結末に落ち込んでいたらしい(書き直し前はヨルは婚約者と結ばれる)。

洲崎｢信さん、ヨルさんを追いかけな！行ってまいますよ！｣

北野｢今ならまだ間に合います！｣

中谷｢ヨルちゅわぁーん…｣

野村｢……｣

洲崎｢信さん…？｣

野村｢…あいつはヨルちゃう。美咲や｣

洲崎・北野・中谷｢え？｣

野村｢…あいつの中にもう俺はおらん。あいつの中におるんはあの男や｣

洲崎｢ヨルさんの中に信さんはもういない？｣

北野｢まさか、ヨルさん…｣

野村｢…ヨルは死んだんや。俺のこともお前らのことも、綺麗さっぱり忘れて…｣

ヨルが記憶を取り戻し、婚約者と共に信作の元を去ろうとする。
いよいよストーリーは終盤へと差し掛かる。

『待って！信作さん！』

野村｢ここはお前の帰る場所ちゃう！
お前には、あの男がおるやろ！？金持ちで前途洋々の｣

『嫌！私は信作さんと一緒が良い！』

野村｢えぇとこのお嬢さんがこんな薄汚い男と釣り合う訳ないやろ！？｣

『信作さんっ』

色々あって本来の記憶を保ちながらヨルとしての記憶を取り戻したヨル。
良家の令嬢である過去を捨てて自分をずっと守ってくれた信作と生きていく道を選び信作の元へ戻って来るラストシーン。

『あなたが私を見てくれるまで、やめません！』

野村｢……えぇんか？俺は金持ちじゃないし学のない男やぞ。何一つ贅沢出来ん生活になるねんで？｣

『お金なんかいりません！鳥カゴの中になんか戻りたくない！信作さんと一緒なら、それだけで充分贅沢です！あなたと過ごした日々が、どれだけ幸せだったか…』

台本通りのヨルの素直なありのままの気持ちを感情を込めて信作(野村くん)にぶつける。

野村｢っ、！！｣

『信作さんっ』

再び気持ちが通じ合い、信作とヨルの壊れた関係が元に戻った。
…分かりやすく言えば、私は野村くんに抱き締められている。

野村｢…ヨル、すまんかった｣

『…またあなたに"ヨル"って呼んで貰えるなんて…』

野村｢…もうどこにも行くな。俺の隣におれよ｣

『はい。"雨降ヨル"として、信作さんの側にいます』

野村｢ヨル…｣

大雨の効果音が流れ出し、私と野村くんが抱き合ったまま幕が閉じた。