嬉しいなら笑ってよ�� ページ15
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給湯室。
木崎｢大分落ち着いた？｣
『うん…、ありがとう』
泣きじゃくる私にコーヒーを入れてくれたきざっちゃんはコーヒーを飲んでる間もみっともなくしゃくり上げる私の背中を優しく擦って慰めてくれた。
木崎｢Aちゃんはほんま優しい子やな｣
『赤ちゃん生まれてくるんが嬉しいんは誰だってそうなんやから、優しいとかは関係ないよ』
木崎｢そうやけどAちゃんは誰よりも愛があるやんか。他人の幸せを自分のことみたいに素直に喜ぶんやから｣
『でもいくら心配が解けたからって、泣いてまうんはあかんよね。笑って祝ってあげられへんなんて…』
木崎｢Aちゃんみたいに人それぞれ思い入れがあるんやから。形どうあれAちゃんの気持ちは充分梅村に伝わってるって｣
『やとえぇねんけど…』
木崎｢…そんなに気になるんやったら俺が笑顔になれるおまじないしたる！そんで改めて梅村に｢おめでとう｣って言おう！｣
『おまじない？』
木崎｢おん！手出して｣
言われるがまま右手を出すと、きざっちゃんは壊れ物でも扱うように私の手を優しく受け止めた。
きざっちゃんの手に乗せられた手はきざっちゃんの額へと誘導される。
木崎｢Aちゃんがずっと、ずーっと笑ってくれますように…｣
私の手に優しく力を込めて念じるように唱えると、額で私の手を擦る。
ただのおまじないのはずやのに、きざっちゃんの手と額の柔らかさと温もり、濁りない言葉に思わず胸が高鳴った。
また健二以外の男の人にドキドキするなんて…。
木崎｢…どう？｣
私の手から額を離して顔を上げたきざっちゃんは、とびきり優しい綺麗な眼差しやった。
『…効いた』
木崎｢よし！じゃあ行こか！｣
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楽屋。
梅村｢ｸﾞｽｯ…｣
横山｢いい加減泣き止めや｣
櫻井｢更年期かしら？｣
空・稲田｢ﾌﾌｯ…｣
きざっちゃんと楽屋に戻ると、何故か梅ちゃんが鼻をすすって泣いていた。
『…梅ちゃん』
梅村｢へ？Aちゃん？｣
『どないしたん？なんで泣いてるん？』
梅村｢ｸﾞｽｯ…大丈夫やで。心配せんでえぇ｣
さっきの私の祝福が悲しかったんかな？
ネガティブな考えが一瞬頭を過ったけど、きざっちゃんのおまじないのお陰かそんな考えはすぐにどこかへふっ飛んで行った。
もう泣かない。今度こそ、曇りない笑顔で言おう。
『梅ちゃん、改めて2人目おめでとう！』
泣き顔やった梅ちゃんもとびきりの笑顔になってくれた。
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作者名：コッティ | 作成日時：2019年1月3日 21時
