平等で幸せな終焉を�� ページ12
========
『野村くん、帰らへんの？』
夜も更けほとんどの人が劇場を後にしていく中、野村くんは真剣な顔でパソコンに向かって何やら作業中の様子。
瞬きをしてないのか、それとも眠気と闘っているのか目が少し充血していた。
『目すごいで。目薬貸そか？』
野村｢大丈夫です。ちょっと没頭しすぎまして…｣
『ネタ作りに？』
野村｢いえ、さっきの脚本を書き直してまして｣
『え？』
やっと試作までいったのに書き直してる？
ストーリーも設定も良くてどこも文句もないのに…。
『どこか納得いかへんとこがあったん？』
野村｢あー…納得いかへんって言うか、終わり方を悲恋からハッピーエンドにしようと思って。
その方が万人受けするし、Aさんもそっちの方がえぇでしょ？｣
『私？』
野村｢台本読んで悲しそうにしてたから。優しいAさんのことやから主人公の報われへん結末に胸痛めてたんちゃうかな、って思いまして｣
どうやら野村くんには全てお見通しやったらしい。
後輩に心情を読まれて修行が足りん自分が情けなく思ったけど、同時に申し訳ない気持ちも溢れ出てきた。
『そんなっ、私のことなんかえぇよ！』
野村｢客観的な意見も取り入れなあきません｣
『そうやけど野村くんが一生懸命書いたヤツやろ？私一人のわがままで折角の脚本を変えるなんて！』
劇団員でもない自分一人のために、後輩にいらん仕事をさせるのが居たたまれへんかった。
そんな私に野村くんは普段あまり見せることのない笑顔を浮かべた。
野村｢元はと言えば俺が忙しいAさんの有無を言わせず無理矢理ヒロインをお願いしたんですよ。Aさんにずっと申し訳ないと思ってたんです。やからせめてもの詫び…まではいきませんけど、Aさんが望むようにしたいんです｣
｢なんか、偉そうですみません…｣と後頭部を掻いて俯く野村くん。
ご都合主義とかそういうモノがあまり好きじゃなさそうやのに…
『…えぇの？大変じゃない？』
野村｢余裕です。まだ試作段階やから変更は効きますから、Aさんの望むがままに｣
『…やったら私の家おいで？』
野村｢え？｣
『ここやったら直に暖房消えるし、お腹かて減るやろ？お茶と軽い夜食くらい出すから』
野村｢大林さんとりゅうらの迷惑になりませんか？｣
『後輩が来たくらいでならへんよ！それに私が望む結末を書いてくれるんやったら本人である私がおらなね』
野村｢…分かりました｣
『よし、じゃあ行こか！』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 37人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい、違反行為です。外し忘れ、とかいう軽い意識はおやめ下さい。作品を消されても仕方のない行為です。オリジナルの新着に二次創作が上がってくる事を不快に感じる人もいます (2019年1月3日 21時) (
レス) id: cec6dd7646 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：コッティ | 作成日時：2019年1月3日 21時
